米沢 長南の声なき声


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衆院解散・総選挙―争点と各党(再加筆版―後半に加筆)
2014年11月19日

争点は安倍政権が推し進めようとしている諸政策―それらを後押しするか、止めるかの選挙
 ●アベノミクス消費税再増税(延期して2017年4月から)
    (成長戦略の目玉として、外国人観光客呼び込みのためカジノ賭博場解禁法案―廃案にはなったが、来年の通常国会で再提出ねらう)
 ●安保政策―集団的自衛権の行使容認・辺野古基地建設・秘密法の施行
  改憲(解釈改憲から明文改憲へ)公約―これこそが核心(安倍首相にとって祖父以来の悲願)―国防軍の創設、国民の国防義務、「基本的人権の永久不可侵」削除
 ●原発再稼働
 ●雇用・労働法制―派遣法の改定(非正規労働の拡大)、物価上昇による実質賃金の連続マイナス、「残業代ゼロ」制度の導入
 ●社会保障―生活保護法の改定、医療介護総合法、後期高齢者医療の保険料「特別軽減」廃止、「マクロ経済スライド」による恒久的な年金削減など
 ●TPP推進
 ●教育制度改革(すでに首長の権限を強めた教育委員会制度など)

野党各党
 ●民主党―消費税では基本的には自公と対立はなく、アベノミクスを批判はしても民主党政権では何もできなかった弱みがあり、他は全てあいまいか中途半端で、しっかりした対案もない(集団的自衛権は「閣議決定の撤回を求める」とは言っても手続きを問題にしているだけで、行使容認自体は不問。原発ゼロは30年代に先送り、消費税・TPP・辺野古新基地建設などで自民党と根本的な違いはない)。
 ●維新の党―経済政策では新自由主義的(規制緩和・民営化路線、カジノ推進)で、安倍政権のこれらの政策には若干の批判を加えることはあっても、基本的には同調(秘密法など自公と修正協議)、民主党と選挙協力(野合?)も
 ●次世代の党―同じく基本的には自民党と同じで、公明党とともに補完政党(より右寄りに補強)
 ●みんなの党―解党(一部は民主党や維新にくらがえ)へ
 ●生活の党―事実上解党(小沢ら以外は民主党に復党へ)
 ●共産党―これらの政策の全てにおいて真っ向から対決(対案もつ― 一律の消費税に対して負担能力に応じた累進課税の強化―富裕層の所得税増税、大企業に対する法人税減税や優遇税制の取り止め等。大企業や富裕層に応分の負担を課せば、庶民からの消費税は要らないはず。景気回復には中小企業支援と一体に最低賃金を(1000円に)引き上げて底上げ―それは大企業が貯めこんでいる巨額の内部留保を少し取り崩すだけでも可能。安保政策については、軍事的安全保障に対して北東アジア平和協力構想など平和的安全保障―沖縄に米軍基地を維持して中国や北朝鮮に軍事的に対峙するよりも、ASEAN諸国による東南アジア友好協力条約に倣って北東アジアにも紛争の平和的解決の枠組みを構築して戦争を回避―等々。)
 ●社民党―上記の争点に関しては共産党とほとんど同じスタンス(護憲・反原発・反集団的自衛権・反秘密法・反基地・反消費税・反TPP)だが、同党には背を向け選挙協力は民主党や生活の党と。

 民主・維新・みんな・生活の党の選挙協力や合流・復党はいずれもご都合主義で、その場しのぎの野合と見なされる。
 共産党と社民党以外のこれらの党はマスコミとともに、消費税増税については社会保障財源や財政再建のために必要だと言うが、高額所得者への増税(所得税の上限アップなど)や大企業の法人税については減税を容認して何も言わず、議員定数削減(「身を切る改革」などと称するが、主権者国民自身の要求・意見を代弁する議席を削減・放棄)を言うだけ。
 (法人税―実効税率38%―は高いというが、法人税と社会保険料を合わせた企業負担は他国に比べれば高くはない。大企業ほど優遇税制による減税措置や合法的な税逃れの方法を使って負担をまぬがれている。トヨタは08~12年はゼロ、三井住友FGは0.001%、ソフトバンクは0.002%とほとんどタダに近い。企業が海外進出するのはその国の法人税が日本より安いからというよりも、現地の需要が多いからにほかならない。)
 マスコミ(新聞社)は新聞代への軽減税率さえ認められれば、それでいいと思っている。

 マスコミは各党の現有議席数に応じた取り上げ方(ウエイトの置き方)で、まずは自民党と安倍首相の言い分に多くを割き、次いで民主・公明・維新の順(政権与党と、もはや有名無実の「二大政党の第2極」・「第3極」優先)で、共産・社民などは申しわけ程度に後に付け足し、或いは全く取り上げられないことも。NHKは首相や与党の党首・幹事長の会見やスピーチをそのまま長々と時間をとって流し、記者やキャスターもその意に沿った解説・コメントを加える。有権者の声(インタビュー)の拾い方も、世論調査では消費税増税や原発など反対の方が多いのに賛否両意見を同数拾い、賛成意見もけっこうあるんだという印象を与える、というやり方。

 カジノ推進法案には自民・民主・維新・公明・みんな・次世代・生活の各党に賛成議員(議員連盟結成)、共産党と社民党の議員は全員反対・・・・主要な争点ではないが、それへの態度は、従軍慰安婦問題などに対する態度とともにその党、その政治家がどんな倫理観(罪悪感)をもっているか、を推し量る判断材料になる。(尚、今すでにギャンブル依存症にかかったいる日本人536万人―特に男は12人に1人―世界最悪。これにカジノ賭博が合法化されれば、国そのものが「ギャンブル依存症国家」「カジノ経済・マネーゲーム依存国家」になりかねず。)

 世論調査(朝日19・20日)は次の通り・・・・数字は%、( )内は8・9日の調査結果
   安倍内閣支持39(42) 不支持40(36)―逆転している
   支持政党―自民32(33) 民主5(6) 公明3(2) 共産3(2) 維新1(1) 社民0(1) 次世代0(0)
              生活0(0) その他の党1(0) 支持なし40(48) わからない15(7)
   比例区で投票したい党―自民37 民主13 維新6 共産6 公明4 生活1 社民1 次世代0
                             その他の党2 わからない30
   消費税17年4月引き上げ―賛成39 反対49
   安倍首相の経済政策(アベノミクス)は―成功だ30  失敗だ39

 さて、投票はどうすりゃいいのか。自公政権党のどちらかに投票して、上にあげた安倍政権の公約や政策を後押しするのか、それとも、その野望と思惑を阻止すべく反対票を投じるのかだが、反対票の受け皿として選ぶとしたら、いったいどの野党(民主党と共産党のどっち)がいいのかだ。前回の選挙では民主党政権と二大政党に幻滅した向きには「第3極」の維新やみんなの党が受け皿となったが、それらは離合集散。今やブレずに不動の姿勢を保っているのは共産党だけ。
 しかし、「共産党ではどうも・・・・」などと根強いネガティブなイメージにとらわれている向きには、「どうせこんな選挙、投票したってどうせ無意味だ」となって投げ出し、棄権するのかだ。
 朝日「声」欄に「野党に期待すべき役割考えたい」として次のような投稿があった。「民主党は野党第1党とはいえ、政権担当能力を欠くという評価が一般的で、同党への政権交代の可能性は低い。だとすれば政権交代のため以外に野党に投票する意味はといえば、それは、投票すればその党を国会における無視できない批判勢力たらしめ、政権側に緊張感を持たせて少数意見に配慮した政策運営をさせることが期待できるというところにある」と(意訳)。同感である。たとえ、その党への一票で政権を奪うことはできなくとも、政権党に対する「怒りの一票」は「蜂の一針」となり、積み上がってその党の得票率が上がれば政権に対する痛撃となる。当選すればその党の議席が増え、国会のあらゆる場において(委員会でも党首討論でも)、より多くの質問や論戦の時間と機会がその党に割り当てられ、政権に対してより徹底した実のある対決・論議を期待できることになる。
 さて、改憲問題・原発・消費税・社会保障・集団的自衛権・沖縄基地問題・秘密法・TPP・派遣法・カジノ法案などあらゆる問題で、政権の思うままにさせてはならず、その暴走をくい止めるようにさせなければならない。それを野党のどの党に託するか。そのような役割が期待できる党はどの党か。第2極・第3極・第4極(?)とあるが、政権党に対抗してして勇ましいことは言っても彼らにとっては痛くも痒くもない野党が多い中で、委員会でも党首討論でも政権党に対して最も鋭い、核心をついた質問・論戦が期待できる党はあるはずであるが、それははたしてどの党か。それを見極めることが肝要だろう。

 前回(2012)衆院選の投票率(59%)は戦後最低、参院選の得票率(52.6%)は戦後3番目に低さだった。さて今度はどうなるものか。

 結果―自民党を勝たせれば―その公約(改憲など)全てを認めたことになる、或いは白紙委任したことになる。
 しかし、前回のように
  自民党は議席は、小選挙区では8割(237議席)も獲得、比例区では3.2割(57議席)で大勝したかに思われた、
 ところが  投票率59.32%―戦後最低(4割以上も棄権)―で
   自民党の相対得票率(投票総数に占める割合)は小選挙区では43.01%、 比例区では27.62 %だが、絶対得票率(有権者数に占める割合)は小選挙区では24.67%、 比例区では15.99%。つまり有権者全体からみれば、小選挙区では2割台、比例区では1.5割台の人しか自民党に投票しておらず、大部分の人は自民党には投票していないのだ。
 そんな場合でも、アベ自民党政権は、その公約は全て認められ、白紙委任されたということになるのか。
 今回、それはどうなるかだ。


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