米沢 長南の声なき声


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政治の対立構図―自民党政権寄りか否かで(加筆版)
2014年11月01日

国民の階層格差拡大―二極化
 有力者層(財界・大企業経営者層・大株主層・エリート層)とその他大勢(庶民)
 それぞれの利害―有力者層は基本的に現状(現体制)維持が有利
         庶民は現状打破・転換(変革)を求める―大多数(のはず)
 多数決民主主義なら、大多数を成す庶民がその気になれば、有力者層に対抗して自らを代弁してくれる政党・議員を推し立てて政権を握らせ、庶民本位の政治革新ができそうなものなのに、なぜかそれができない。それ(その理由)はそれができないように、有力者層・富裕層が、彼らの推し立てる政党(自民党)に有利な選挙制度や政治資金法制度の下で政権(獲得)が維持され、メディアも彼ら(有力者層)によって握られ、情報コントロールされ、庶民の意識がメディアととも(保守派とリベラル派、「読売・産経・日経」派と「朝日・毎日・東京新聞」派などに)分断されているからであろう。

 そこで、その構図は次のよう。
自民党政権寄り―保守派・右寄り     ⇔ 政権に距離を置くリベラル派―革新派
 公明・次世代の党・維新・みんな    ⇔   共産・社民 (民主党・生活の党は?)
 現体制(政治経済体制)維持      ⇔   現状打破・転換めざす                 
 改憲派・靖国派(愛国派)        ⇔   護憲派
 原発維持               ⇔   脱原発
 親米(日米同盟派)、反中・反韓      ⇔ 不偏・平和友好
 歴史修正主義(日本の戦争・植民地支配を正当化)⇔ 歴史反省派
 最大の右翼団体「日本会議」、その他「在特会」等⇔「九条の会」「革新懇話会」等
 読売・産経・日経・NHK・フジテレビ・日テレ⇔朝日・毎日・東京新聞・テレ朝・TBS 

(尚、テレビ朝日は朝日新聞、日本テレビは読売、TBSは毎日、フジテレビは産経、テレビ東京は東京新聞と系列関係にあるので、それぞれ似通った論調。
新聞各社の発行部数は、2013年4月現在、読売986万部、朝日760万部、毎日342万部、日経288万部、産経167万部、それら全国紙の合計部数2543万部、ブロック紙・地方紙の合計部数1769万部。山形県におけるシェアは山形新聞が49.7% 読売15.9% 朝日14.5%という割合。
 消費税増税は新聞・テレビの世論調査は朝日も読売・日経などとともに反対の方が7割で圧倒的なのに、社説は朝日も毎日も全国紙はみな賛成で、東京新聞や地方紙の一部が反対。TPPも、交渉参加には全国紙はみな賛成、ブロック紙・地方紙の多くは反対。
 赤旗は政党機関紙ながら発行部数は産経などに匹敵し、東京新聞などを裕に上回るほど多くの人々に読まれている。尚、神戸女学院大名誉教授の内田樹氏は「赤旗の方がNHKより偏りが少ない」と。
 ところで我が家の娘・婿たちは別世帯だが、いずれも新聞は取っておらず、ネットニュースで済ませているようだ。若い世代はそういうもの―活字離れ―か。時事通信社の「新聞に関する世論調査」では新聞を購読している人は過去最低の74%で、26%が購読していない。理由は「テレビやネットなどで情報が得られるから」が最多で、あとは「節約のため」「読む時間がないから」。)

 
 安倍首相―朝日新聞を目の仇―いわく「安倍政権を倒すことを社是にしていると、かつて主筆がしゃべった」と―10月30日衆院予算委(閣僚の相次ぐ不祥事が野党から追求・攻撃されているのに対して、民主党の幹事長にも政治資金収支報告書に不記載があったことが発覚したことを受けて「これで撃ち方やめになればいい」と発言したとの報道について質問されて)の答弁―「私が言ってもいない発言が出ているので、大変驚いたところです」として、その発言は朝日新聞による「捏造」だと―同報道は首相の側近議員による記者団への説明に基づいて朝日だけでなく各紙とも報道、その後、同側近議員は「『撃ち方やめ』は自分の言葉。首相は『そうだね』と同意しただけだった」と説明修正―朝日新聞は「時の政権打倒」を「社是」とするなどばかげているし、主筆がしゃべったというのも、それこそ事実誤認の伝聞だろう」としている。(尚、31日の国会でも、再び朝日を名指しして「捏造だ」と批判した首相は同日夜、読売・産経・NHKの幹部と会食している。)
 いったいどっちが捏造しているの?首相の発言「朝日は政権打倒を社是にしている」というのも「捏造」ということにならないのか。
 従軍慰安婦に関する虚偽証言(ありもしない済州島での「強制連行」を事実であったかのように「捏造」した吉田証言)を伝聞のまま報じてきて記事を取り消した朝日は今やさんざんに非難されているが、同様に報じたはずの読売は自らの誤報を認めず記事を取り消してもいないどころか、朝日を攻撃する側にまわって大キャンペーンを張っている、それに惑わされている我々庶民。

 安倍政権のメディア戦略―マスコミをコントロール―首相の考えや思いをアピールする場に―メディアを選別―共同記者会見を単独会見に切り換え、重要ニュースを一社だけに提供―特定の新聞社に優先的に情報を流す
 安倍首相はマスコミ各社の幹部(会長・社長・政治部長・編集・論説委員ら)としばしば会食も。
 NHKの経営委員(百田氏や長谷川氏ら)は安倍首相と考えが近い人物(改憲派・靖国派)が任命され、彼らから選出された会長も同様で、しかも「政府が右ということを左というわけにはいかない」などといってはばからない人物(籾井氏)が選任されている。

 このようなメディアと政権をめぐる対立構図を見極め、自らの立ち位置を自覚しつつ、惑わされ右往左往することなく判断・行動しなければなるまい、と思う。

 <参考>徳山喜雄著「安倍官邸と新聞―『二極化する報道』の危機」集英社新書


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