アジア太平洋戦争と日本の植民地支配における加害実態調査
諸事件―これまで訴訟で取り上げられた事件
「慰安婦」問題
強制連行・強制労働問題
「三光作戦」(殺し尽くし、奪い尽くし、焼き尽くす―中国側の言い方だが、日本軍によるゲリラ掃討作戦で、町や村を襲い女・子供も「便衣隊」<ゲリラ>とみなして殺害)
南京虐殺や平頂山事件など住民虐殺事件
人体実験や細菌戦など731部隊に関する事件
重慶爆撃や東京大空襲などの空爆事件
日本軍遺棄毒ガス事件
元捕虜への虐待事件
韓国・朝鮮人の軍人・軍属や在外被爆者などへの不平等取扱いに関する事件
サハリン抑留者や原爆被爆者への補償問題 etc相手国政府との合同調査(相手国政府からみれば被害実態調査)が望ましい
戦後70年を期して 和解―友好・信頼関係の回復へ
戦争体験世代(当事者)がいなくならないうちに(証言・記憶がなくならないうちに)
(加害体験者は口をつぐみ沈黙しがちだが)
客観的事実を確かめる調査―加害国・被害国双方のくい違いをなくして共通認識へ
なによりも被害者個々人が加害者である日本政府や日本企業に補償を求めているから(解決要求)―①日本国が加害と被害の事実と責任を認めること。②謝罪をすること。③謝罪の証を何らかの行動で示すこと(個人への金銭給付、或いは日本政府の費用で謝罪の碑を建立、陵園を設置など)。④二度と同じ過ちを繰り返さないために次の世代に教訓を伝える行動をとること(教科書に掲載、歴史的資料の公開など)。
調査委員の選任―中立的な立場の人―歴史家・法律家―保阪正康・半藤一利氏のような―原発事故調のように
政府の責任ではあっても委員メンバーは中立的な人でなければならない
(自民党などかつての戦争推進側につながる人やそれへの同調者ではなく)
安倍首相が言うような「歴史家任せ」(無責任)ではなく政府の責任で調査実施。
戦争責任―①法的・政治的責任(謝罪・補償・賠償など)②道徳的・倫理的責任
①の法的責任については、国家間の賠償責任は(中国に対しては1972年の日中共同声明で、韓国に対しては日韓請求権協定で)中国政府も韓国政府も放棄したとされているが、中国や韓国の被害者たちの間では個人の賠償請求権は別だ(放棄されていない)と提訴―日本政府は法的義務は消滅しているとし、日本の裁判所ではほとんどが「国家無答責」の法理・時効・除斥・請求権放棄論などの法律論で却下。但し最高裁は「請求権」は放棄しても、請求権の実態は消滅してはいないとし、「発生」もあり得るとし、債務者側(日本政府もしくは日本企業)において任意の自発的な対応(基金を設立・出資してそこから金銭支給もしくは慰霊碑を建立など)をすることは妨げられない」と―訴訟ではなく、外交or政治的解決。
韓国司法府の判断では慰安婦問題と強制動員問題は賠償請求権協定の範囲外だ(だから個人請求権は放棄されていない)としている。戦後世代で当事者ではない世代は個人的には責任ないが、民族的責任
民族感情(同胞意識)―勝利を誇り、「大和魂」「大和なでしこ」などと優越感を覚えもし、敗北を悔しがり屈辱感を覚え、怨念を抱き、過ちには「ひどいことをしたもんだ」と罪を意識ー「安らかに眠ってください、過ちは繰り返しませぬから」などと
ナショナリズム―「日の丸」に熱狂・・・オリンピックやワールドカップでは選手とは個人的には何の関係もないのに「わくわく」。
国(政府―法的人格)には国家責任あり、その政府は国民(主権者)が選んだ政府である限り、国民は全く無関係とは言えない(自分の反対する政府の決めた消費税だからといって払わないわけにはいかないのと同じで、仮に戦後補償を日本政府が払わなければならないとなった場合、そのカネは税金から支払われることになるが、自分は直接加害者でないから払わないというわけにはいかない)尚、従軍慰安婦問題の政府調査は河野談話の際に日本政府がそれなりに行っている(関係省庁における関連文書の調査、米国国立公文書館での文献調査、軍関係者や慰安所経営者等各方面への聞き取り調査、韓国挺身隊問題対策協議会の証言集の分析等の調査。これら以外に元慰安婦16名からの聞き取り調査も行っているが、その結果は河野談話の内容を確定する根拠としては位置づけられていない―なぜならその結果が出る前に談話の原案は既にできていたから。)(その際、韓国政府との間で事前協議も談話の文言調整も行われている。但し韓国側の意見・要望については受け入れられものは受け入れ、受け入れられないものは拒否というやりかたで、日本政府が独自に行った調査を踏まえた事実関係は歪められてはいない、という。)