米沢 長南の声なき声


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軍事でリスクマネージメントはきれいごと―危機管理としての閣議決定に不納得
2014年07月30日

 24日朝日新聞投稿にあった「危機管理としての閣議決定に納得」はもっともらしく受けとられますが、 次のような点で賛成しかねます。
①それは抽象論で具体性に欠けていること。
②「何もせず平和を守り続けることができるだろうか」といいますが、それを言うなら、現政権は相手国に対して「対話の扉はいつでも開いている」とか「力ではなく法の支配で」と言うばかりで、それ以外にはさしたる平和的外交努力もなしに専ら軍事的対決の体制強化にはしっていることのほうを問題にすべきなのではないか。
③我が国と周辺諸国との間には領土問題その他懸念される諸問題があるが、それらは集団的自衛権の行使など軍事で解決がつくものだろうか。軍事衝突が起きれば収拾つかなくなり、かえって不幸な結果を招くことは明からか。
④特定の国を「非友好国」「話しても分からない国」と決めつけて、友好関係や信頼関係の回復・醸成に努力を尽くそうとせず、問答無用とばかりに軍事力であたるしかないというのでは短兵急すぎる。
⑤その国との間に問題や紛争があっても、けっして戦争にはしないように外交努力に徹する、これこそが21世紀の今のやり方。戦争や軍事で決着のつく時代ではないということ(ASEAN諸国を主体とする東南アジア友好協力条約など)。
⑥万一の有事(戦争)への備えが必要というが、いつか必ず起きて避けようがなく備えが必要不可欠な自然災害とは異なり、戦争は予防・回避ができるものであり、「もし起きたら」に備えよりも「起きないように」すればよいのである。
⑦それでも紛争・トラブルが起き、公船や漁船の衝突、侵犯・不法上陸・テロなどの事件に対応する警察力による警備・実力阻止などリスク管理とその体制強化は必要。しかし、だからといって集団的自衛権の行使容認など軍事体制強化をはかろうとするのは的外れだろう。リスク管理とは危機事態を招かないようにすることと危機事態が起きたら速やかに収拾し被害を最小限に止めることであるが、軍事(集団的自衛権の名目での軍事介入など)は危機事態が起きないように(抑止)するため、或いは危機事態を収める(制圧する)ための手段というよりは、危機事態をかえって招来し激化させる原因ともなり、リスク管理の手段というよりは、リスク管理の対象(管理されるもの)といった方がよいからである(ウクライナ、シリア、イラク、イスラエルとパレスチナの現実を見れば明らか)。
軍事で「リスクマネージメント」なんてきれいごと。
 以上のことから「危機管理の閣議決定」にも不納得です。


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