米沢 長南の声なき声


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安全保障―9条の非軍事的抑止力と軍事的抑止力のどっちが
2014年07月01日

(1)「我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化」
   ―中国の台頭(「脅威」)、アメリカの後退―「パワー・バランス」の変化
●中国 
 ①経済大国化―軍事力も強大化、海洋進出
 ②東シナ海―尖閣  領有権の主張(日本側の実効支配を認めつつも棚上げ合意があるものとの認識から、日本側の一方的な国有化に反発)
          海上警備船 日本の海保巡視艇としきりに接近
          防空識別圏の設定 空軍機が自衛隊機に異常接近
    アメリカは、日・韓・ASEAN諸国と中国抑え込み目指す、一方、中国は米国経済を支える不可欠なパートナー(米国債を大量に保有し、米中間貿易は日米間や日中間をはるかに超える規模で相互依存)で「経済戦略対話」(中国側は「新しい大国関係」と)、日本が中国の挑発に乗り、地域の安定を乱すのを迷惑がる。(日米韓の連携で穏便に中国を抑え込みたいとの思惑―「中国取り込み、封じ込め」「対中バランシング」―「我々は中国との対決や対中封じ込めを目標とはしない」と)
 ③南シナ海への進出  〃   〃   ―海底油田掘削  
                べトマム・フィリピンと海上警備船の衝突トラブル
●北朝鮮
  核・ミサイル(既に8発もの核兵器を保有?核弾頭の小型化に成功?)
       たとえ核を積んでいないとしても、500kg程度の通常弾頭なら、基地の滑走路や原発を破壊することは可能。原子炉が一機破壊されれば周囲数百キロに被害が出る。
    (2006年の北朝鮮の公式文献『我が党の先軍政治』によれば)「偉大な将軍(金正日)は・・・誰であっても我々を侵害しない限り我々は決して武力行使しないこと、日本が我々を敵対視せず、友好的に対するならば我々の国防強化について少しも憂慮することはない…朝日関係において根本問題は、謝罪補償、過去清算問題である、これさえ解決されれば、敵対的な朝日関係が友好協力関係に転換でき、そうなれば、日本が憂慮する安保問題は、自然に解決されるとおっしゃった」と。一方小泉首相も2002年衆院決算行政監視委で、それと軌を一にした発言をしており日朝間の意思が合致していたことが推測できる―早大・水島朝穂教授。)
●中東―シリア・イラク・アフガン
●ウクライナ
●テロ
(2)これらに対して軍事的抑止力 「力には力」
 自衛隊と日米安保が戦争を抑止(1960年安保改定の際に「他国の戦争に巻き込まれる」との批判があったが、この安保によって「むしろ日本の抑止力が高まり・・・」と安倍首相や高村副総裁は言うが、はたしてそうか?)。
 日米同盟―集団的自衛権の行使容認(行使を可能とする憲法解釈の変更)―同盟国アメリカその他「我が国と密接な関係にある国」が武力攻撃を受けたら助ける(反撃・応戦・参戦)用意
 (フィリピン・ベトナム・オーストラリア・インドなどと「安保協力宣言」軍事協力へ―合同訓練・演習、巡視艇供与)
 そのことを宣明すれば中国も北朝鮮も日本に手を出せない?
   そうすれば戦地に自衛隊を送ることになる(戦闘地域か非戦闘地域かの区別なく、戦場に「ここから先は安全地帯」なんてないのに)    
 国家戦略―アメリカの戦略と一体(「アメリポン」?「世界の警察官とその副官」)
        中国・北朝鮮・ロシアなどに対抗
  中国やロシアの拒否権で国連が機能せず、国連決議抜きで米英中心の多国籍軍が展開するケースが増えていけば、日本の自衛隊もそれに参加・派兵を求められることになる。
   
 そのリスク・弊害―軍事衝突(偶発的発砲)→戦争リスク
  互いに自国の軍備・軍事力は自存(自国の存立)自衛や抑止のためだと思っている―中国も北朝鮮も(中国は自国の経済成長に見合う軍備増強)―それぞれの「自衛力・抑止力」と「自衛力・抑止力」のぶつかり合いから戦争になる(「戦争は自衛の暴走で始まる」26日の朝日新聞に森達也・映画監督)
  「ハンマーを持つ人には、すべてが釘に見える」「ハンマー―集団的自衛権を使えるようになれば、武力に固執して、平和的な問題解決の方法を探さなくなる」(米国の映画監督・ジャン=ユンカーマン)―力に頼りがちとなり、対話・交渉(妥協・譲り合い)が疎かになる(一方で「領土問題は存在しない」問答無用だとばかり突っぱねておいて、「対話の扉はいつでも開いている」と矛盾したことを言ってる。)
  北朝鮮から米国に向けて発射されたミサイルを日本が迎撃すれば、北朝鮮にとっては日本からの先制攻撃になり、日本は北朝鮮から報復攻撃を受ける可能性がある(日本は北朝鮮から武力攻撃を受けていないのに集団的自衛権の行使として北朝鮮を攻撃するのであるから、北朝鮮が米国へ向けて発射したミサイルを日本が迎撃すると宣明することは日本が北朝鮮を脅していることになる)。 
  もしも「第二次朝鮮戦争」(93年クリントン政権が試算―最初の90日間で米軍兵士の死傷者5万2000人、韓国軍の死傷者49万人、市民にも大量の死者が出る)
      日本も戦争当事国となり日本本土にノドンなど弾道ミサイルが撃ち込まれる。
  もしも「第二次日中戦争」になったら? 
       戦争で亡くなった人をどうするか?
       戦争で居場所を失った人はどうなるか?
  自衛隊が海外に出動する機会が増えれば「事故」(血を流す事態)が起きる危険性が飛躍的に増していく。
      「向こう」からすればアメリカの味方はすべて敵となり、自衛隊が米軍と一体になって行動すれば、激しい攻撃に晒されることになる。イラク戦争時にイギリスがテロの標的になったように、東京や大阪、或いは日本の原発周辺でテロが起きる危険性が高まる。
     日本人の短所―
        集団意識・同調性―引きずられやすく、抜け出せない
                      いったん火が付くと止められなくなる?
        忘れっぽい?―大戦の記憶が薄れ―大半が戦後世代になり、戦争のリアリティー(実感)なく、若者に限らずゲーム感覚
(3)非軍事的・平和的方法―対話・交渉・交流(非軍事的抑止力)
   諸国民と利害・運命の共有(シェア)
   安全保障の要諦は「敵をつくらず、脅威にならないこと」
   憲法9条こそが抑止力―「こっちがなにもしなきゃ、なにもしてこない」―日本が戦争に巻き込まれずに済んだのはそのおかげ(それがあったからこそ、日米安保でアメリカの戦争に―ベトナム戦争にも湾岸戦争にもアフガン戦争にもイラク戦争にも―自衛隊はアメリカから要請があっても戦闘への参加は断ることができ戦争に直接巻き込まれることなくて済んだ)(「9条は自衛隊員の命を守る最強の盾になっている」わけだ)
   日本人―「平和的国民」イメージ―信頼
         「マナーの良さ」(礼節)・信義に篤い?―「美徳」
               
   非軍事的な国際貢献―ODA(政府開発援助) (最近、軍事につながる支援を解禁する動きも)
                  軍縮・軍備管理交渉(今までは消極的・不熱心)
   各国と平和友好条約めざす(特定の国と同盟したり密接な関係を結んだりせず)―敵をつくらず紛争予防
   国家単位ではなく国境を超えた関係―グローバル・トランスナショナル
     (ヒト・モノ・カネ・エネルギー・環境・文化の交流)―人間の安全保障
   「自衛力」「抑止力」を名目とした集団的自衛権行使容認などの軍事強化は控える。  
   そのリスク―「自衛力・抑止力」の低下を突いて、中国や北朝鮮はたちまち日本の領海・領空を侵犯し、尖閣を奪いに来て離島に上陸、或いは本土に攻め寄せてきて占領し、日本人を拉致するおそれ?       
      相手を増長させ横暴を許す結果に―無理難題に妥協を強いられ、「屈従」のおそれ?(しかし、丸腰ではあっても毅然と対応、「負けるが勝ち」「戦わずして勝つ」「(互いに)ウィン・ウィン」―戦争による大惨害・人的物的資源の大損失を被るよりはマシなだけでなく、道徳的な勝利―信頼が得られる)

(4)比較衡量―(2)の軍事的方法と(3)の非軍事的方法とで、どちらがベターか
         「国民の平和的生存権」・自衛隊員も含めて日本人の生命が守られるためにはどちらがベターか。

 <参考>週刊現代6月23日発売号
       世界7月号
       朝日新聞


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