米沢 長南の声なき声


ホームへ戻る


平和ボケをつくって愛国心教育
2014年02月26日

 最近、書店で買ったNHK出版新書(「転換期の日本へ」)に、オーストラリア国立大学の名誉教授ガバン・マコーマック氏が、1954年日本の内閣情報調査局の出版物に「国民の愛国と国防の意識を涵養するためには、戦争被害の記憶を除去し、戦争の被害の記憶を持たない若い世代に訴える必要がある」という文があったことを指摘している。要するに政府当局には、戦争の悲惨さを知らない子どもや若者たちには、敢えてそれを教えず、むしろその忌まわしい記憶を除去して愛国心と国防意識を涵養するという教育方針があったという事実である。
 それで思ったことは、若い世代にみられる好戦性というか、戦争に対する抵抗感の薄さは、よくいわれる「平和ボケ」とか「平和に飽きた」などということではなく、むしろ、政府当局にが意図的に戦争の忌まわしい記憶を消し去り、悲惨な実態を敢えて教えずに済ませようとしてきた結果にほかならず、正社員になれず、居場所のない若者や子どもたちに「国防軍」の兵士となり、忌まわしい敵国からの「国の守り手」になってやるんだという方に夢を向けさせようとしてきた結果なのでは、ということである。
 昨今の首相その他「タカ派」人士の言動と若者の状況を見るにつけ、そう思えてならないのである。


ホームへ戻る