米沢 長南の声なき声


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都知事選結果の危ない問題点(再加筆版)
2014年02月10日

 {都知事選挙は自公政権与党が推した舛添氏が圧勝という結果で終わったが、投票率は46%で史上3番目の低さ。棄権も一つの選択肢かもしれないが、理由はどうあれ、それは知事に誰が選ばれようが投票した他の有権者に任せるということで、それが過半数を占めるということは、まさに「お任せ民主主義」。
 それに、新聞社の出口調査によると、年齢別では若い人ほど田母神氏に投票した者が多く、20代では舛添氏に次いで2番目、30代でも細川氏を上回っていた。つまり若い人ほど、愛国的好戦的というか戦争に対する抵抗感が少なく、戦後日本人がやっと獲得した民主主義に否定的な考え方をする政治家や論者に対して抵抗感が少ないということである。
 「戦後レジームからの脱却」を目指す安倍政権に親和的で、解雇自由化など規制緩和を認める「国家戦略特区」構想を積極的に受け入れようとし、原発ゼロには反対する、そのような候補と、彼らに投票した有権者に都政の行方を任せる「お任せ民主主義」。それは民主主義の一つの衆愚形態とも考えられ、東京都民に限らないが、民度如何により民主主義の危うさを感じないではいられないのである。}

 この投稿を掲載した二日後(11日)朝日「声」欄に載っていた投稿(北海道の方で昨春まで大学教員をしていたという方の投稿)「『舛添氏圧勝』報道に違和感」は、次のようなことを指摘していた。
 舛添氏を支持した人の数は全有権者の19.5%で、10人中2人に満たない支持率。
 「日本の20代の投票率は年代別で最低が続いている。・・・・日本の若年層の投票行動の消極性に落胆・・・・・このままでは日本の民主主義の危機は更に深刻化するのではないかと恐れる。」と。
 同欄の『朝日川柳』の中に次の一句も―「これからは愛国ネット『組織票』」
 同欄の『朝日川柳』の中に次の一句も―「これからは愛国ネット『組織票』」
 三日後の同紙声欄には埼玉県の出版業79歳の投稿(「若者は平和に飽きたのか?」)に、「自衛隊で航空幕僚長まで務めた田母神氏が支持されたことは、若年層に自衛隊や戦争への抵抗感がないことを物語っているのではないか。」「今回の結果は現憲法の下で培われてきた反戦と平和の流れに、若年層を中心とする人たちが「飽き」を感じている兆しではないか。これを危険な流れとみるのは杞憂だろうか。」と。

 しかし、次のような若い識者(うの・つねひこ氏)の見方も(2月12日朝日の文化欄)。
 田母神氏に投票した人のうち、「かなりの割合が『ネット保守』と考えると、リベラル勢力は自分たちの言葉が届かない若い層がこれだけいるということを軽視してはいけない」し、「ネット保守の動員力に対抗できていない」ということだろう。ネット保守層は「『かわいそうな若者』にとどまらないのではないか。現実に東アジア情勢は緊迫し、北朝鮮の状況も混迷している。この状況下で、防衛、外交方針を具体的に打ち出す保守派に対して、リベラル勢力は数十年前から更新されない言葉で教条的かつ精神論的な憲法9条擁護論を繰り返すだけで、現実に存在する国民の不安に対応しようとしない。」リベラル勢力は「相手をバカにする(リベラル勢力のある種の大衆蔑視―引用者)だけで自分たちは具体的な、現実的な処方箋を出せていない」と。
 リベラル勢力の弱さ、頑張りの足りなさを指摘しているが、これも傾聴に値する。
 


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