米沢 長南の声なき声


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軍事・警察国家へ―戦前回帰
2013年12月19日

 アメリカをまねてNSC(国家安全保障会議―外交・防衛政策の司令塔)を創設し、特定秘密保護法を制定(強行可決)したうえで、NSS(国家安全保障戦略)を策定し、新防衛計画大綱・中期防衛力整備計画を合わせて閣議決定した。
 ①NSS―今後10年の外交・安保政策の指針となる。
   「国際協調主義に基づく積極的平和主義」―「国際協調主義」は日米同盟が中心。「積極的平和主義」とは海外で米軍とともに軍事的役割を果たすということ―海外の紛争に軍事的関与へ―アメリカとともに「集団的自衛権」の行使を容認へ。PKOなど海外派兵を積極的に推進(「駆付け警護」―PKO活動中の自衛隊が他国軍やNGOなどの民間人。が危険にさらされた場所に駆付け、武器を使って助けるということも)。
   国民一人一人に「我が国と郷土を愛する心を養う」(愛国心教育)・・・・ナショナリズム
 ②新防衛大綱―陸海空の「統合起動防衛力」の構築。「水陸機動団」(海兵隊)の新設など。
   普天間基地の移設(名護辺野古へ)    
   北朝鮮の弾道ミサイルへの対処能力の総合的な向上を図る(「敵基地攻撃能力」など)。
   武器輸出三原則(武器輸出の原則禁止)を緩和し、装備・技術協力、共同開発・生産・輸出を限定的に容認へ。
 ③中期防―装備増強―ステルス戦闘機・オスプレイ・水陸両用車・機動戦闘車・無人偵察機など。 
   それらは中国・北朝鮮を念頭に「東アジアの安全保障環境が一層厳しさを増している」ので、それに備えなければならないという必要に迫られての策定・決定なのだという。
それで、
 
 大転換―(不戦平和主義→)「専守防衛」から「攻勢的防衛」(「積極的平和主義」などと称している)へ(実質的改憲)。
    (新防衛大綱には「日本国憲法の下、専守防衛に徹し、軍事大国にならないとの基本方針に従い・・・・」などと書いてはいるが)
  もっぱら軍事には軍事で対抗という軍事一辺倒で、外交努力で紛争や問題を解決するという姿勢はほとんど示さず。(「対話の扉はいつでも開いている」と言って相手が折れてくるのを待つのみで、具体的な外交的手段を講じる考えはなし。米中関係のような外交チャンネルや意思疎通パイプを構築しようともしていない。)

 「戦争には至らないまでも、不測の事態に備える必要があるのは確かだ」などという向きもあるが(朝日社説)、このやり方では不測の事態を誘発し、戦争に至らしめる危険性が増すことになる。

 それは中国・北朝鮮への対抗心に基づくもの。
  (石破・自民党幹事長いわく、「北朝鮮って最近、怖くありませんか」「『ミサイルを撃つぞ』と脅してきたときに、日本の国はそれに耐えることができるだろうか」と。また中国に対しては「法律や自衛隊の仕組みや装備をきちんとしておかなければ、中国の拡張主義に我々は飲みこまれてしまう」―と煽って、軍事強化・秘密法も合理化。)

 しかし、このやり方は逆にこれらの国の日本に対する警戒感・脅威感を増幅する。
 (中国の習近平政権は「中国の脅威論を口実に日本を軍事大国に向かわせる試み」だとし、中国外務省は「日本の動向には高度の警戒が必要だ」と言明している。また韓国外交省は「(「積極的平和主義」というが、それは)地域の安定の妨げになってはならない。平和憲法の理念や専守防衛の原則を尊重し、透明に進められるべきだ」と。) 
 米紙ニューヨークタイムズは「より強力な日本の軍隊が、20世紀初期の日本の帝国建設の記憶が生々しく残っている韓国など周辺諸国からどう迎えられるか」と書いているという。

 これら安倍政権が進める軍事政策は秘密法の制定と合わせて戦前の軍事・警察国家への回帰を思わせる動きと見ないわけにはいくまい。



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