米沢 長南の声なき声


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差し迫る諸問題
2013年10月06日

消費税増税
 名目「社会保障のため」と「財政再建のため」
 その実、10月から公的年金を大幅削減(2015年4月分まで、3度にわたって計2.5%)
生活保護も削り、介護保険法も改悪へ
     景気対策で5兆円―大型公共事業に行ってしまう
 輸出大企業には還付金(戻し税)―国内で原材料などの仕入れで消費税を払っている(A)のに、その分を海外の消費者に転嫁できないための救済措置―輸出企業が損をしないように負担分(A)を国内で販売して納めた消費税(B)と相殺し、負担分(A)の方が多ければ払い戻される(つまり大企業は消費税を負担していないのに還付金を受け取ることができ、消費税が上がれば、還付金も増えるという仕掛け)。
 中小零細企業・個人商店―大手のように消費税を客に転嫁したり、仕入れ先に値引きを強要できないので、実質的に消費税分の値引きを強いられる。
   消費税は赤字経営でも容赦なく徴収されるから、倒産・廃業・自殺が続出の危険性。
法人税―3年間の復興特別法人税を2年で打ち切り。
法人税減税を「早期に検討する」ことに。
  理由
 (1)「給与の増加につながるはずだから」(企業収益の増加が賃金上昇・雇用拡大につながり、消費を押し上げ「好循環」をもたらすとするトリクル・ダウン論)―本当か
   1997 ~2012年の間に法人税を35.5% から34,5%、30%へと下げたのに、給料は(年収)70万円も減った。一方、この間、企業の内部留保(余剰資金)は100兆円も積みあがって270兆円にもなった。
 (2)「世界から投資を呼び込めるから」
 (3)「日本の法人課税が諸外国に比べて高い(国際競争力の障害となり、企業が海外に出ていってしまう)から」と―本当か?嘘
   ①実効税率=[税法上の標準的な税率によって計算した税額]÷[課税上の所得]
その国際比較―単純な表面税率の比較ではわからない―国際的に統一された基準で計算される会計上の利益を分母にとるべきだが、そうはなっていない
表面上の税率は40.69%―アジアやドイツ・イギリスよりは高いが、フランスと同じくらいで、アメリカ(40.75%) よりは低い
   ②さまざまな特別措置(大企業優遇税制―研究開発控除、外国税額控除、受取配当益金不算入など)によって、実際の課税額は税法上の標準的な税率(40.69%)よりは10%も低い
実質税負担では(上位100社平均では)30.7%―トヨタ30.5% 、ホンダ32.1%、日産20.4%、 三菱商事20.1%、三井物産 11.4%
   ③法人税だけでなく社会保険料も合わせれば、企業の公的負担は日本はフランス・ドイツなどより低い(それらの7~8割)

 設備投資した企業と賃上げした企業には減税
原発問題
 汚染水問題―首相の言った「状況はコントロールされている」「港湾内の0.3平方キロの範囲内で完全にブロックされている」「モニタリングをしていて、数値はまったく問題ない」との言説は本当か?―嘘―港湾内に流出しているのは、建屋やトレンチ(トンネル)経由の汚染水で。これも、港湾内と外洋の海水は一日50%も入れ替わって「ブロック」などされていない。汚染水貯蔵タンクから漏れた汚染水が港湾外に流出するルートもある。外洋の調査地点で高い濃度が検出されていないのは、汚染水が海水で希釈されて(薄められて)いるから。海底にたまっている放射性物質の分布など、外洋への影響を政府も東電もほとんど調査してはいない。
 現場ではトラブル(ミス)が頻発―作業員の被曝―「協力会社」(下請け)任せで要員不足。
 要するに事故収拾できず、原因究明もできていない。
 核燃料の処分法が確立しておらず、放射性廃棄物は処分に10万年かかる。
      
 再稼働問題―東電など電力会社が原子力規制委員会に新基準に基ずく審査を申請
         柏崎刈羽原発など再稼働へ
 東電の債務超過―銀行の債権放棄も株主負担もなく公的資金(税金投入・電気料金の上乗せ)で延命(存続)させて再稼働(「ひき逃げ犯に車の運転を任せるようなもの」)―いったん破綻処理をして、株主責任とともに銀行にも貸し手責任を問い、国が事故収束と賠償・除染・廃炉に責任を果たす体制を構築すべき。
 
 輸出―首相「原発の安全技術でこれからも世界に貢献していく」と。
ベトナムなどへ原発輸出―問題点①売り込んだ原発が事故を起こした場合、その費用は全て日本国民の税金から支払う約束。②売り込んだ原発の使用済み核燃料・放射性廃棄物は日本が全部引き取らなければならないことになる(自国の核廃棄物を処理する場所・処分場もないのに)。
 小泉元首相―原発ゼロ発言―「ゼロは無責任というが、処分場のあてもないのに進める方がよほど無責任だ」と、再稼働・輸出政策を批判。

「積極的平和主義」―軍事的平和主義―憲法の平和主義とは似て非なるもの
 軍事的抑止、パワーバランス(軍事力による均衡)の下での「平和」めざす。  
 集団的自衛権の行使―地理的限定なく(「地球の裏側までも」世界のどこへでも)米軍を助けに行けるように。
   国連の集団安全保障措置への参加、PKOに留まらずPKF(国連平和維持軍)への参加(他国の部隊が攻撃されたら自衛隊が応戦できるように)めざす。
   アメリカ(「世界の警察・保安官」)追従(「副保安官」役)―人道と世界の安全を名目にして他国(アフガニスタン・イラク・シリアなど)に軍事介入へ。
 「平和主義」とは言っても、真の平和主義に相応しい提案はしておらず、その役割を果たそうとはしていない。
 安倍首相―訪米中に、タカ派シンクタンク(ハドソン研究所)に招かれて、そこで「私を『右翼の軍国主義者』と呼びたいなら、どうぞそう呼んでいただきたい」(中国に対して開き直り)「日本の今年度の防衛費は前年度比0.8%だけなのに、中国の軍事支出は毎年10%以上の伸びを20年以上続け、日本の2倍にもなっている」と。    
 防衛白書は中国の国防費は「過去24年間で約30倍にもなっている」(一般には、マスコミを通じて、この数字だけを公表)と。しかし、中国は経済が高度成長(1988 ~2012年の間GDPは35倍、歳入は50倍)の途上。
 日本も高度成長期(1961~79年)には防衛予算は連年二けた成長(60 ~84年の24年間に18.7倍に)。高度成長期には韓国も台湾も同様な現象。
 中国の国防費のGDPに占める比率は、昨年は1.27%で、日本の0.96%よりは高いが、米国の4.57%に比べればはるかに低く、イギリス(2.5)、フランス(1.86)、台湾(2.2)、韓国(2.5)、インド(1.97)よりひく、ドイツと並ぶ。
 中国のGDPは昨年(前年比)7.8%増に対して国防費は10.7%増。但し前者は物価上昇を差し引いた「実質増」、それに対して後者は額面の金額で「名目増」なので、単純比較はできず、そのことを勘案すれば国防費はむしろ下がっている、というのが実態。
 中国に対しては「対話の扉は常に開いている」と言いながら「両国間に領土問題は存在しない」と言って尖閣問題での対話・交渉を突っぱねて続け軍事的対決姿勢をとり、中国以外のアジア諸国・アメリカ・オーストラリア等と「価値観外交」で接近―中国包囲網(旧い冷戦思考に基づく対中封じ込め政策。同じ価値観を共有している国どうしが連携・協力して中国に対抗、というが、安倍首相らの歴史観―歴史認識―はアジア諸国やアメリカとも異なり、むしろ独りよがり)。
 中国とは初めから信頼関係に立った対話を放棄。
  
秘密保護法案―国民の「知る権利」、メディアの「報道の自由」に制約
「日米同盟のため」と―両国の機密情報(軍事情報・スパイして得た情報など)を互いに共有
  それとともに国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案―有事の体制づくり―軍事の司令塔で戦前の大本営のようなもの―集団的自衛権の行使を可能とする日米軍事一体化と一体。
外交、防衛、テロ、「特定有害行動」等に関する秘密情報―「国家機密」
 機密の範囲が曖昧、「何が機密かも秘密(教えない)」
 何を秘密にするか(隠すか)決める(指定する)のは政府(行政機関の長)―恣意的運用のおそれ
 公務員、メディアの取材、国会議員の国政調査活動も規制され、政府の都合のいい情報だけが公開。
 テロ活動防止分野では原発関連情報が機密にされる。
 違反すれば最高10年の懲役
 公務員・メディア・国会議員・国民も委縮、自己規制へ

TPP交渉―アベノミクスの成長戦略の一環
 政府は「交渉に参加すれば情報が入手しやすくなる」として交渉参加を合理化したが、交渉経過は非公開・秘密(国会にも)―秘密主義―国民への情報提供の約束反故。
  関税撤廃:工業製品も含め輸入品は9018品目
       うち農産物、そのうちの5項項目(「加工品」・「調整品」も含め586品目)は「聖域」として除外を約束したはず。しかし譲歩して一部見直し、品目によっては聖域からはずされることも。
   ①米―玄米・精米・米粉・もち・だんご・せんべい・あられ等58品目
   ②麦―大麦・小麦・うどん・スパゲティ・パスタ・ビスケット等109品目
   ③乳製品―バター・チーズ・ハム・ベーコン等も188品目
   ④牛肉・豚肉―牛タン・レバー・牛乳・脱脂粉乳など部位別100品目
   ⑤砂糖・デンプンなどの甘味資源作物―サトウキビ・ビート・シロップ・あんこ・チョコレート等131品目
     これらがそっくり(6.5%)が除外され(聖域として守られ)れば自由化率は93.5%、譲歩して、そこ(聖域)から一部品目(加工品・調整品など)がはずされれば95%以上になってしまう。加工品・調整品といっても、それらが聖域からはずされれば、その輸入量は急増し、国産品はその分売れなくなる。
 その他、問題の交渉分野
   衛生植物検疫―食品の安全基準は守られるか
   保険―日本の公的医療保険制度は守られるか
   医薬品
   政府調達―政府や自治体の公共事業の発注ルール
           国際入札(外国企業も参加)―地元中小企業向け発注が困難に
   投資―ISDS条項(多国企業が進出先の国で法律や政府の政策によって不利益を被ったと判断した場合、国際的な仲裁機関にその国の政府を相手取って損害賠償を求めることができる仕組み)導入―日本の司法主権は守られるか

 8日首脳会合―年内妥結めざすも困難

「教育再生」
  その教育観―①国家による統制(国家主義的な教育の徹底)
           ②強制力を重用      
           ③競争教育
           ④道徳教育―型にはめる―道徳を教科化

 首相のブレーン―八木秀次―教育再生実行会議メンバー、「新しい歴史教科書をつくる会」の元会長で反「自虐史観」論者―SMAPの「世界に一つだけの花」(「ナンバーワンにならなくてもいい」と歌う)を非難「こんな歌を学校で歌わされていたのでは子供たちは何もしなくなる」と。
        桜井よしこ―中央教育審議会メンバー―「体罰は教育」と肯定
        いずれも安倍首相と同様の考えの持ち主で、過去の日本軍の侵略や「従軍慰安婦」強制・関与を否定)
 教育行政―教育委員会―そもそも、その役割は教育に必要な諸条件(予算、教員一人当たりの生徒数など)の整備にあるはず。それが教職員の教育内容に介入・統制
  
 「日の丸・君が代」強制―東京都教委による都立学校教職員でこれに従わない(斉唱時に不起立だった)者に対する処分(石原都政下の2003年以来、のべ450人)―今年7月最高裁で、それを不当だとして訴えていた教職員への処分(減給・停職)取り消し判決(戒告処分は適法に)。
   大阪府教委―国歌斉唱時の口元監視を府立の各校に指示

 教科書選定―もともと学校ごとに採択していたものを、文科省は「最終決定権は教育委員会にある」と。しかし高校の場合は運用によって事実上学校ごとの採択になっていた。
 その教科書採択に教育委員会が介入―実教出版の教科書(検定合格)、その記述に「国旗・国歌法をめぐっては、日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由とりわけ内心の自由をどう保障するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚・国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし、一部の自治体で公務員への強制の動きがある」(客観的事実)と。
  この教科書に対して―東京都教委が見解を都立各校に「使用は適切ではない」と通知。
   大阪府教委は条件付き(教科書の記述を補完する補助教材を使うこと等)で採択。
   神奈川県教委は、採択審議前に、同教科書を申請した各学校の校長に再検討を求め、その結果、それらの全ての学校が他社の教科書に変更して再申請。
   埼玉県では教委は同教科書を採択決定したところが、県議会が教委に対して「再考」を求める決議。教委委員長は決定を撤回せずに辞意を表明。

 図書館教育に介入―島根県松江市で教育長が「はだしのゲン」閲覧制限、批判を浴びて撤回。

 全国学力テスト:静岡県知事が同県の学テ成績上位校の校長名を公表(県のホームページに)―   文科省は「ルール(学力調査実施要領)を逸脱」と批判(過度な競争原理だけが先走りする可能性があるとして)。
  大阪府教委が学テの学校別成績(平均正答率)を各校に公表を義務付けることを決定(学校選択制の導入で、学校選択の要素に)―文科省は学テ成績公表が「強制になれば実施要領に逸脱する可能性がある」と。

 教育委員会制度改革―教委の権限を自治体首長に移す案(委員の任命権はこれまでも首長にあって、教育長は事務局の長として委員の中から互選で選ばれてきたが、新たに教育長も首長が任命・罷免できるようにしたうえで、その教育長を「教育行政の責任者」として権限を集中させ、教育委員会は教育事務のチェックを行う監査機関に)
    教育委員会の独立性・政治的中立の原則―崩れることになる。
 いじめ防止対策推進法(9月28日施行)―問題点
  道徳教育の強化、規範意識の養成、学校と警察の連携など義務付け
  いじめる子・いじめられる子・はやし立てる子・傍観者(見て見ぬふり)それらが入れ替わるという複雑・多様な生徒の実態を「いじめる子」と「いじめられる子」の二項対立に単純化して一方を処罰、他方を保護、硬直的な上からの押しつけ、厳罰化(懲戒・出席停止・別室授業など)
  取締的対応、監視・密告体制―子ども分断や冤罪を招く恐れあり
  加害者(鬱屈した心・心の闇・歪みをもった子ども)を出さない学校・家庭・社会にすることが大事。
 子どもと先生が信頼関係で結ばれ、先生は子ども一人ひとりに目が届き、行き届いた指導ができ、先生と子ども同士が互いに親しみ合えて、気楽に対話・相談し合えるゆとりのある少人数学級にすることが大事。
  「いじめ」解決には子どもが声をあげる自治が必要。
 学校を進学塾と同一視する傾向―受験教育―テスト競争教育―進学実績で評価
               その観点から効率性を追求―企業的学校経営


安倍政権の基本スタンス―財界・大企業本位、対中日米同盟
                 国家主義的傾向―自由・人権に対して国家の統制を重視
マスコミ―権力者の発言を無批判にそのままに伝えるのみ
     党派性―有力な党派・階層にとって都合のいいところばかりをとりあげ、都合のいい方向に目を向けさせる。そして都合の悪いところははずし、都合の悪い方向 からは目をそらす。
     オリンピックをナショナリズムのシンボル操作の手段に
国民全体に右傾化傾向―排外主義的ナショナリズム―ヘイトスピーチ(憎悪表現)(京都の朝鮮学校周辺で街宣・「スパイの子ども養成学校!」などと拡声器で連呼し、その映像をネットのユーチューブに載せて公開、学校から訴えられた団体に対しては京都地裁が街宣の差し止め、賠償命令の有罪判決)



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