米沢 長南の声なき声


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国民の“B層”が決定づける選挙(加筆修正版)
2012年12月17日

今回の選挙:自民党が「圧勝」―議席の6割を超える
 当選者は改憲賛成が9割、集団的自衛権行使賛成が8割
 ところが、投票率59.32%―戦後最低(4割以上も棄権)(原因はマスコミが選挙前から世論調査などで「自民党大勝」予測を出したため、「だったら、投票に行かなくとも、どうせ決まったも同然」と決め込んだ向きが多かったこと、それに12党も乱立して訳が分からなくなって面倒くさいとなった向きも多かった等が考えられる。)それに無効票(白票や候補者以外の名前を書いた票)も過去最高で3.31%(約204万票)
 そこで
 自民党の相対得票率(投票総数に占める割合)小選挙区では43.01%、 比例区では27.62 %
     絶対得票率(有権者数に占める割合)小選挙区では24.67%、 比例区では15.99%
   ということは自民党への投票者は有権者全体から見れば決して多数派ではなく少数派                                                  
     なのに議席は、小選挙区では(2割台の得票で)8割(237議席)も獲得
                       (それが小選挙区制のおかしなところ)
                    比例区では(1.5割台で)3.2割(57議席)

 国民はABCDの4層に分類されるという。小泉内閣が「郵政選挙」前、「メディアを使って選挙戦をどう戦うべきか」という分析を頼んだスリードという広告会社が考えたもの。(インターネットで調べられる。)
 A層は政治家・有識者・大手メディアの人間など社会的地位が高く、IQも高く、小泉構造改革への関心が高い層。
 B層は主婦層・若者層・高齢者層など大衆で、比較的IQが低く、マスコミ報道に流されやすい層。具体的な政策よりも人気(イメージや空気)によって、或いは「寄らば大樹」で大政党か勢いのある政党・政治家を選択する傾向にある。
 C層は、IQは高いが、小泉改革に慎重な層。
 D層はIQも小泉改革への関心も低い。
としたうえで
 A層は、マーケティングを駆使して積極的にB層向けの商品を作り続ける。選挙戦もB層をターゲットにして戦うべきだと

 経済アナリストの森永卓郎氏によれば、B層は「郵政選挙」における小泉政権の支持母体、「政権交代選挙」における民主党の支持母体にもなった、という。
これで言うと今回の「政権奪還」+「第3極」選挙における自民党と維新の会の支持母体もやはりB層というわけか。
 ただし、ここに言う各層分類の基準の一つを「IQの高い低い」としているのは、どうも短絡的で、それよりも「民度(知的水準・教育水準・文化水準・行動様式などの成熟度)の高い低い」とした方が適切なような気がする。

 4割以上もの棄権。自民党が圧勝といっても、その得票率(有権者総数に占める絶対得票率は1.5か1.6割)よりも、この棄権率(4割)のほうがはるかに多いのだ。棄権したのはD層(無関心層)、それにC層の中にも「どうせ投票しても死票になるばかりで意味がない」と思う向きには)棄権した人はいるだろうが、A層はもとより投票所に一番足を運んだのはB層だろう。
 自民党の大勝と維新の会躍進など改憲派の圧勝(自・公・民・維新・みんな・未来など当選者の9割が改憲賛成、8割が集団的自衛権行使賛成、彼らの当選)を決定づけたものは、やはりB層の投票だろう。この層は、原発再稼働も消費税もTPPもやむを得ない、沖縄基地もオスプレイもやむを得ない、中国・北朝鮮とは戦争になってもやむを得ない、といった感覚で、政策の良しあしはどうでも「決断と実行」力のある政治家であればそれでよく、A層が掲げる(維新の会がスローガンに掲げるような)「賢くて強い日本」で「君が代が千代に八千代に」栄え続ける国であればそれでいいのだ。
 このB層が、この国のあり方を決定づけている、といってもよいだろう。
 この国の国民の民度は高いという向きもあるが、それほどでもないという向きもある。いずれにしろ、B層に限って言えば、民度は高くないということだ。それがこの国の民主主義の未熟さ、この国の政治家たちの国際水準(ひいては外交力)の低さにもつながっている。
 ただ、黙々と働く勤勉さと天災・人災にも耐える忍耐は日本人の美徳とされてはいるが、政治問題・社会問題への関心、選挙・投票となると民度・政治意識の点では、まだまだ。

 A層(社会的地位の高いエリート層)に立った支配政党は、数の上で最多のB層(大衆)をターゲットにして最大の票田とし、D層(単にIQの低い無関心層とは限らず、目の前の生活で手いっぱい、或いは仕事探しや介護などで忙しく、政治も政策も考える時間・余裕がない、という人々)の棄権を有利とするが、彼らやマスメディアにも対抗しなければならない非A層政党は、B層やD層の民度(政治意識)の向上・啓発にも大いに心がけ(民度の高いC層の人たちとともに、上から目線ではなく共に教え学び合って)役割を果たさなければならないだろう。
                 と思うのだが、いかがなものだろうか。


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