経済・文化交流が途絶えることへの危機感があるのかどうか?
我が国メディアには、反日デモ・日系企業襲撃などに憤慨し迷惑がりはしても、そこには彼の国の民衆の中にある自国政府に対する不満の表れと見られる側面があり、むしろ彼の国の国内事情の問題だとして矮小化する向きが多く、我が国自身の問題を省みることが少ないように思われる。
反日デモ、日系企業の操業停止、日本製品の不買運動、日本への観光ツアーの大量キャンセルなどは、むしろ向こう側にとってマイナスとなる部分が大きく、日本は貿易・投資の相手を他国(東南アジア諸国・インドなど)に切り替えればいいだけの話し、といった楽観論が多いのでは。
{尚、中国との経済関係
貿易―中国は最大の輸出相手国(全体の19.7%)で、最大の貿易相手国
中国から日本への輸出は全体の7.8%
中国から見れば貿易額は、日本は4番目(①EU②米国③ASEAN)
(日本経済の中国依存度のほうが中国経済の日本依存度よりも高い)
中国への進出企業2万社
日本で生活する中国人は(台湾人・香港人ふくめ)67万人―すべての外国人の中で最多
中国が保有する日本国債18兆円(日本国債の外国保有分の2割以上を占める最大の保有国)。中国は米国債の最大の保有国でもある。}
「チャイナ・リスク」は領土問題と歴史問題を抱える日本にはあっても、欧米や韓国
などにとっては、日本企業がリスクを恐れて進出を取りやめ撤退すれば、それはかえってチャンスとなる。
日中の関係悪化で、どちらがより大きな損失・痛手を被るか、それは日本の方かもしれない。いずれにしろ「ウイン・ウイン」(共に勝ち)とは正反対いわば「ルーズ・ルーズ」(共に負け)という結果になることは間違いないだろう。
中国・韓国との間で島の領有権をめぐって対立、それぞれ自国に領有権ありと主張して譲り合わず平行線。
韓国との間では従軍慰安婦問題などで、中国との間でも歴史認識にくい違いがあり(議論すれば平行線)、そのために、わだかまり・不信感・疑心暗鬼がつきまとい、ざっくばらんな(腹を割った)話し合いができない。領有権で主張がかみあわず、トラブルがあっても、(日本は中国に対して、韓国は日本に対して)「領有権は我が方にあることは明白。そもそも貴国との間に領土問題は存在しません」と(言わば「問答無用」と言わんばかりに)強弁し、原則論にこだわって話し合いに入ろうとしない(相手の言い分を聞かず、聞いても反論しない)。
国有化に関わったある政府高官いわく、「事態は長びくだろう。お互いスタンスは変えられない。覚悟しないといけない。」「海保から海自(自衛隊)へ、レッドラインを越えるか、そうなったら大変なことになる」と。結局は互いに「毅然と」強硬姿勢(「尖閣諸島は国家意思として断固守る」―安倍)、巡視艇・監視船・抗議船・漁船団をくりだし、海上で入り乱れ、水(放水)の掛け合い、睨み合い、或は上陸の応酬・・・・一触即発(銃撃戦)、エスカレートすれば自衛艦も出動し軍事衝突にも発展しかねず―そのために、それに備えて互いに軍事力を強化、またそうなるのを「抑止」するためだとして、日本は日米同盟に頼る(―沖縄基地、オスプレイ配備容認)。
国民のなかにも、いざという時は「米軍の助けが得られるから大丈夫」という安心感?
だから、国民世論も強硬論に傾きがち(「追っ払え、力ずくで!」―石原、「交渉なんかに乗るな!」「交渉はしても、一歩も譲るな!」などと)。
米軍の日本支援・介入など当てにはならないのに(アメリカ自身は、「尖閣は安保条約の適用対象には入っている」とは言っても、領土問題はあくまで二国間で解決すべきもので、アメリカはあくまで中立の立場だとしている)。要は、アメリカ頼みに、強がって「来たら力ずくで追っ払うまでだ」とか、「やるならやってみろ!受けて立つ」などと、物理的対応や軍事対応などにとらわれないこと。そして、あくまでも経済・文化面で交流を再開・維持する方向で、早急に信頼関係を築いて会談・協議に入り、それも、話し合いの入り口で「領土問題は存在しません」などと原則論にこだわってばかりいないで、紛争は紛争として認め、それをどう解決するか、解決の糸口をどこに見出すか対話・交渉のプロセスに入るしかないということだろう。