米沢 長南の声なき声


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尖閣・竹島問題
2012年08月19日

 そもそも、今回の騒ぎのきっかけは、竹島については韓国大統領が、そこに上陸するという挙に出たこと。
 それに尖閣諸島のほうは石原知事が島を買い上げると言い出し、事を進めていったことだろう。いわく「政府に吠え面をかかせてやるんだ。何もしなかったんだから、政府は」「東京が尖閣諸島を守る」「島々を舞台にして様々な施設を展開する」と。

 国際司法裁判所への提訴―相手が応じなければ裁判は始らないが、それならそれで、なぜ応じないのか、その理由(それを正当づける根拠―領有権がその国にあるという根拠)を提示せよと裁判所を通じて迫るのがベター。
 そうすることによって国際社会と相手国民にアピールすることが必要。
(韓国が実効支配している竹島については、日本側が過去2回―1954年と62年―国際司法裁に付託を提案したことがあったが、いずれも韓国側がそこは韓国固有の領土であって係争地ではないとして受託拒否。ところが尖閣のほうは日本側が実効支配していて「日中間に領土問題はない」として交渉には応じない態度をとってきた。)
 国際裁判に持ち込んで、相手が応じず、そこで決着はつかくても、国際社会と相手国民に日本の領有権・正当性を最大限アピールするうえで提訴には意味がある。

 そうする以外は、海上保安庁による警備活動以外には、相手国が嫌がる(相手国の国民感情を逆なでし、相手国政府を困惑させる)行為―韓国のように首脳が上陸したり、議員が上陸したり、東京都が島を買い上げ、武装警察あるいは自衛隊の常駐施設を構築したり等―は控え、控えさせるほうが賢明。
 韓国による上陸・常駐・施設構築など一方的な行為を非難し、国際法廷に提訴するのはいいとしても、 韓国がそれ(上陸・常駐・施設構築)をやっているからといって、同じことをやって、或はそれらを実力阻止・排除・破壊などを以て応酬しあったら、事態はエスカレートして、行き着くところは武力衝突ひいては戦争になる。
 海上保安庁による警備活動(過激グループが、また押しかけて来たら、また追っ払う―逮捕・事情聴取のうえ、公務執行妨害それも実害がない場合は強制送還する等)の強化は必要。
 あわせて相手国政府に、過激グループが海保の警備海域に侵入し島に上陸するなど、こちら側が嫌がる行為を控え、控えさせる措置を講ずるよう、トラブルの再発・エスカレート防止に努めるよう毅然として要求することは必要。
 
 まずいのは民族感情(反日・反中・反韓)のぶつかり合い―その矛先が自国の政府批判(「弱腰外交」だとか「なめられてる」とか)にも向けられと、政府も強硬対応に出ざるを得なくなる。

 理想的には海域の漁場・海底資源の平和的な(協定ルールに従った)共同利用であり、その方法を追究し、その知恵にたどりつくことである。
 最悪の場合は、互いに、自国による島と海域(縄張り)の占有にばかりとらわれて、それを守るか奪うかの果てしない強硬手段の応酬、ひいては軍事衝突、国交も経済交流も断絶、あげくのはては戦争―共倒れ(負けはしなくても勝てもしない)である。アメリカが助けてくれる?―それは甘い(アメリカにとっては日本だけでなく中国・韓国も国益上だいじなパートナーであり、安保条約の「義理」や「友情」だけで国益や兵士の命を犠牲に供しようとは思うまい)。
 「弱腰ではなくもっと強硬な対応策(対抗措置)を講ずるべきだ」などと勇ましいことは言っても、そんなことをやれば、最悪の場合、戦争・共倒れになるということを想定もせずにそれを言うとしたら、それは無責任というもの。

 これらのことを考え、国益に照らして、どのような対応をとるのが有益か、両国間の関係維持・改善と、関係は悪化し国益は害しても民族感情・意地を押し通して自己満足を得るのと(「愛国という名のエゴ」―週刊朝日は中韓側の「愛国という名のエゴを許すな!」としてそれを指摘)、どちらを優先するか、どのような対応の仕方をとるのが望ましいか、である。
 東京都による尖閣の島購入は果たして妥当なやり方なのか否か、議員の島上陸は義挙なのか愚行なのかも、これらの観点から評価・判断すべきだろう。

 オリンピックで自国選手の活躍に熱狂し、試合に勝ち、メダル受賞となれば選手もテレビを見ている人たちもみんな自己満足(共感)し、相手国選手や国民は残念がりはしても、(今回、男子サッカーで日本に勝った韓国選手の一人が、試合直後に会場でサポーターから差しだされた「独島・・・」と書かれたものを掲げたのは、日本人の感情を逆なでする行為だっただけでなく、それ以外の人たちの気分をも損なう、オリンピック精神にあるまじき、とんだ迷惑行為で、多くのひんしゅくを買っているが、あれは例外で)誰の心を傷つけることも、両国の国益を害することもないし、それならいい。
 ところが、国家間・民族間の政治的・経済的な対立・領土紛争・民族紛争さらには戦争ともなると、相手国民・民族を憎悪しあい、感情を傷つけあい、勝ちを制して「万歳・万歳」と自己満足は得られたとしても、ともに相手国民・民族との平和共存・共栄(経済的にウイン・ウインの関係)を台無しにし、国益上はかりしれない損失をもたらすことになる。
 オリンピックで「がんばれニッポン!勝った、勝ったニッポン!」と熱狂するのはいいが、領土問題で熱狂して、「守るも攻めるも黒がねの・・・・・」(軍艦マーチ)なんてやってしまっては大変なことになってしまう。
 



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