米沢 長南の声なき声


ホームへ戻る


国旗・国歌を踏み絵にしてならぬ
2012年01月25日

 朝日新聞に「国旗・国歌で愛国心教えたい」という投稿があったが、単純過ぎないか。
(1)愛国心には二通りあり、一つは、生まれた国への愛着、同胞への親近感、もう一つは、自分がその一員として権利・義務をもつ国家・国柄への愛着。
 前者は、親子・家族の情愛や郷土愛などと同様、自然に生まれ育つ感情なのであって、わざわざ教えなければならないようなものではない。
 後者については、憲法上の国家の理念や権利・義務、歴史・伝統・文化など学校その他で教えなければならない。
 しかし、「愛国心を持て」などと押し付けがましく教える筋合いのものではない。ただ、「誇りを持つのはいいが、驕り・独善になってはいけない」といったことはよく教えておかなければなるまい。
(2)国旗・国歌は、それが国民誰しも違和感なく受け入れられる旗や歌ならばいいが、「日の丸」・「君が代」は、それらが国民を戦争に駆り立てたというい歴史から拒否感をもっている向きもある。それらは、そもそも「大日本帝国」の国旗・国歌だったのに、戦後、国が全く変わっても使われ続け、99年それを正式に国旗・国歌とする法案が国会で可決されたが、少なからぬ反対もあったのだ。審議の過程では政府はそれらを「強制はしない」とする見解を繰り返し述べていた。
 (3)公教育の場で生徒・教師・親たちが心を一つに祝い合う式典に、「踏み絵」のようにイデオロギーに関わる対立のタネを持ち込むのは望ましくない。少なくともそれを強制すること自体、式典に臨む生徒・教師・親たちの中に要らざる困惑やギスギスした重苦しさ与え、式典を乱す元にもなり、かえって愛国心を損なうことにもなる、といったことも考えなくてはなるまい。




ホームへ戻る