米沢 長南の声なき声


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北朝鮮とかつての日本―危ない共通点(加筆版)
2011年12月23日

●経済危機―かつて日本も世界恐慌以来、経済危機にあった。 
     北朝鮮は1980年代から経済停滞(韓国に差をつけられる)、ソ連・東欧社会主義圏の崩壊で軍事・経済の支援が得られなくなって窮地に(韓国はロシアとソ連崩壊前に国交、その後中国とも国交)。中国は、食糧と重油だけは支援し続けている。
     北朝鮮もかつての日本も、国民の欠乏・飢えが深刻
       閉塞感―現状打破を求める
       不満のはけ口を外に向ける―対外強硬路線―日本は米英敵視(「鬼畜米英」)
●ともに独裁体制へ―かつての日本は軍部独裁
●ともに軍国主義―軍事力に依存―軍備拡張―かつての日本は戦艦・空母・伊号潜水艦・ゼロ戦・中攻(96式陸上攻撃機)など、北朝鮮は核・ミサイルに頼る。
●ともに全体主義―個人の自由・人権抑圧・言論統制(がんじがらめの相互監視・抑圧体制―かつての日本には特高警察と隣組み)
  かつての日本は朝鮮人その他を強制連行、従軍慰安婦も、北朝鮮は日本人その他を拉致
●北朝鮮は対米戦争状態(朝鮮戦争は53年以来休戦しているが終結はしていない)、かつての日本は対中戦争とともに対米戦争へ
●ともに諸国から経済圧力うける―北朝鮮は経済制裁をうけ、かつて日本はABCD包囲網で米英など諸国から経済封鎖された。
  苦し紛れの開戦―日本は真珠湾攻撃・対米英開戦、北朝鮮には「暴発」(戦争を仕掛ける)の危険
  日本は戦争で自国民310万人、アジア全体で2,000万人を犠牲にした。
  日本はアメリカ軍から占領され、大日本帝国の体制は崩壊した。
  北朝鮮がもしも暴発し(戦争しかけ)たら、たちまち反撃されて占領され、体制は崩壊し、韓国主導の統一国家が樹立されることになる。しかし戦争の犠牲者は100万人に達するだろう。
  (1994年、クリントン政権当時、北朝鮮がIAEAの査察を拒みNPTから脱退しようとしたのに対して、北朝鮮の核施設空爆を計画したが、その時のシュンミレーションでは全面戦争に発展すれば、朝鮮半島で死者は軍・民間人合わせて100万人、米国人10万人に達すると予測され、結局、空爆計画は断念した、ということがあった。)
  それに、戦争と体制崩壊にはさらに何百万人という大量難民がともなう。韓国にしても中国にしても、彼らを引き受けられる(経済的・物理的)収容能力はなく、大混乱と社会不安を招く恐れあり。
  だから、中国も韓国もロシアもアメリカも、暴発・戦争など起きないように慎重にならざるを得ないわけ。

●北朝鮮はどうなるか(金正日死去にともない、その未だ若くて経験の浅い三男―金正恩―が後継者となって)、三つ方向
 ①権力内部の抗争―キム・ロイヤルファミリー(正恩とその後見人と目される叔母―金正日の妹―とその婿―張成沢)と党の長老と軍の派閥の間で。それが軍主導の方向に向かい「先軍政治」(軍国主義)がかえって強化
 ②張成沢の主導で改革開放
 ③民衆蜂起―その可能性は少ないと見られる
●関係諸国(日米中韓ロ)の対応は―「対話か圧力か」硬軟両用か
 ①強硬策―「圧力」「北風政策」―軍事・経済制裁圧力で締め付ける
 ②静観策(黙って様子見)
 ③懐柔策―「対話」「太陽政策」―支援の手をさしのべる
 これらのうち、どれが得策か。
 いずれにしても「6ヵ国協議」の枠組みは維持しつつも、実施は未だ。
 日本は国交がなく、非公式にもパイプ(対話の窓口)がなく6ヵ国協議に頼るしかない。
 国交がないため、日本のマスコミ等は情報が取れない。
●肝心なのは、諸国にとっては朝鮮半島の非核化(核開発と核物質・核製造技術の流出の防止)、日本にとってはもう一つ「拉致被害者の解放」、
 北朝鮮側にとっては、アメリカと平和協定(不可侵条約)を結び、脅威を除去して、国家を維持。日本とは過去の清算(植民地支配に対する謝罪と補償)で国交正常化、
 それらが一番肝心なところだろう。
    


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