米沢 長南の声なき声


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原発問題―5月23日参院行政監視委員会での参考人の発言
2011年06月01日

要点(インターネットで動画から掘り起こしたもの)
(1)小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)
 ウラン―広島原爆で800グラム
     原発一機、1年間動かすのには1トン(広島型原爆の1,000発~2,000発分)
 高速増殖炉(「もんじゅ」)の計画―1兆円も注ぎ込んできたが、破綻―実用化目標には(1980年前半目標が10年ごとに先延ばし変更され)永遠にたどりつけない。
 破局的事故を「想定不適当」だとしてきた―「格納容器など絶対壊れない」とものをいうこと、「だから放射能が漏出することなどあるはずがない」ということに。
 防災というものの原則―危険を大きめに評価して予め対策をとって住民を守ること(もし結果的に過大評価だったとしても、被害が無くて済んで良かったと胸を撫でおろせばいいだけの話)
 原子力には、(アメリカのメーカーなど)企業機密がつきもので、核兵器の技術開発と同じで情報公開になじまないところがある。
 原発情報(測定データなど)は正確な情報を常に公開、それこそがパニックを起こさない唯一の方法。
 ところが政府は一貫して事態を過小評価(楽観的見通し)、パニックを回避するためにと、危機的状況ではないということを常に言いたがり、情報を隠しがち。
 (当初レベル4とし、レベル5に換え、もっと後になってレベル7に修正するなど)
 福島第一原発の事故の本当の被害―いったいどれ程のものか―もし現在の日本の法律(原子力災害対策特別措置法など)を厳密に適応するなら、失われる土地は福島県全域といってもいい位の広大な土地(を無人地帯にしなければならなくなるが・・・・それは不可能だろう。それを避けようとすれば、住民の被曝限度を引き上げるしかなくなるが、そうすれば住民はそれだけ被曝を強要させられる、ということになる。)
 東電がいくら賠償したところで足りない。何度倒産しても足りない。日本国が倒産しても多分あがないきれないほどの被害が出てくるのだろう。
 追求・検証すべきは東京圏で使う原発電力の給電(立地)を東北に押し付けてきた不正をこそ追求すべき(国会に検証委員会を設けるなどして)。
 今やるべきことは進行中の事故を迅速に収束させる、それに全力を尽くすこと(原発周辺住民・原発作業員のために)。
 今後、水蒸気爆発(圧力容器・格納容器が損壊)が完全に起こらないとは断言できない。

(2)後藤政志氏(芝浦工業大学非常勤講師、以前東芝で格納容器を設計)
 地震が起これば原子炉には必ず制御棒が入る(核反応を止める)とは限らない(制御棒が脱落あるいは誤挿入で機能しないことがある。過去には何回<十数件>もそういうことがあった。うち2件は臨界<予期せずして核反応が進む>に達していた。なのに、20年以上隠されてきた。) 
 作業員―被曝を前提にした作業―非人間的労働―数分間きざみの短時間交代作業―コントロールできない。
 原子力技術は細分化―全体像が把握し難い―技術者は周囲の他の技術者たちの仕事を知らない
 我が国には原子力の完全な専門家はいない。
 管理する行政(原子力安全保安院と原子力安全委員会)が機能不全。 
 安全審査―形骸化(「こんな事故は起こるはずがない」と)
 安全性の確保に利害がからむとダメ。
 安全性の哲学が不在―論理的に起こり得るかぎり、いつ起こるかもしれないものを、危険な兆候がないから、「確実ではないが、多分大丈夫」として済ます。
 たとえそれが起こる確率は小さくても、最悪の事故を考慮すべき―それを受忍できない技術はやめるべき。
 シビル・アクシデントは原子力の特性であって避けることのできないもの―地震・津波・落雷・台風・竜巻など(外的条件)に機器のトラブル、それに人為的ミスが重なる。
 「ベントするタイミングが遅れた」とか、「海水注入が遅れた」とか、故障とともにミスやエラーがあるのは当たり前で、プロセスの一つに過ぎない。「誰が悪い、かれが悪い」などにとらわれよりも、進行中の事故を収束させることだ。

(3)石橋克彦氏(神戸大学名誉教授・地震学者)
 2005年2月23日の衆院予算委員会の公聴会で「原発震災」を警鐘したが、残念ながら響かないまま、ここまで来てしまった。
 今回の原発事故は津波が来る前に、地震そのものによって発生(配管の破損、圧力抑制室の損傷など)の可能性が大。
 「制御された安全」とは、たとえば旅客機でいうならば、事故の確率を最小限にすること(だがゼロにはできない)、それに対して本質的安全とは旅客機に乗らないか、飛ばさないこと。原発のことを言えば地震列島では、それは作らないこと、置かないことだ。
 日本の原発は「地震付き原発」―日本の国土・領海・排他的経済水域に地球上の地震活動の10%が集中。その日本に世界中の発電用原子炉の10%以上(米仏に次ぐ)が設置。
 浜岡原発―地震は近い将来ほぼ確実に起こる―地震源の上でカーニバルをやっているようなもの―永久に閉鎖すべき(防潮堤など津波対策すれば済むというものではない)。
 54基ある原発は浜岡以外にはリスク評価がなされておらず、順位も付けられていない―政府の見解は事実上「リスク・ゼロ」と見なしている。
 浜岡の次に危ないのは?―敢えて言うなら、若狭湾原発。
 原発耐震偽装―中越地震の時の柏崎刈羽原発は沖合いに長大な海底活断層があることを無視。
 原子力安全委員会・安全保安院―原発擁護機関に化している―それに政府系研究機関や国立大(旧帝大)の研究者も加担せざるをえない根深い利権構造(電力会社と「原子力村」をなす)。
 「大作為の大罪」―現政府だけでなく、27年間の歴代政府の積み重ね
(4)孫正義氏(ソフトバンク社長)
 電田プロジェクト―休耕田・耕作放棄地(計50万ha)の2割を太陽光パネル建設に利用(「ボルトで仮設置」)、そうすれば50ギガワット―昼のピーク時におけう原発50基分に相当―の電力を給電できる。
 全量買取制度の実施、電力会社による送電網への接続義務、用地の規制緩和など必要。
 国民が直接投票で、原発を継続的に受け入れるか否かを。


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