米沢 長南の声なき声


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安保と世論調査
2011年01月01日

2010年12月24日付け朝日新聞に掲載された同社の世論調査(日米両国内で実施)結果。一部割愛し、文章要約。それぞれに、当方の考え(当方ならどちらを選ぶか、もしくは意見)を加える。<日><米>は日米それぞれでの調査結果を示す。
<日>安全保障を考える上で、軍事的な面と外交や経済などの非軍事的な面では、どちらの面がより重要だと思うか。 軍事的な面22 非軍事的な面64 当方なら「非軍事」の方
<日>これからの日本は中国との関係を深める方がよいと思うか、中国とは距離をおく方がよいと思うか。 関係を深める51  距離をおく38(「米国との関係を深め、中国と距離をおく」27)  当方なら「関係を深める」方―但し、これまでの米国との関係のように、なんでも「右ならえ」で、その言いなりになるような関係ではなく、対等な関係を保つことは必要。
<米>これからのアメリカは、中国との関係を深める方がよいと思うか、中国とは距離をおく方がよいと思うか。 関係を深める55  距離をおく34(「日本と関係を深め、中国と距離をおく」13)
<日>日本にとって、アメリカと中国の、どちらの国との関係が、より重要と思うか。
 アメリカ68 中国15  これは愚問。両方とも重要にきまっている。
 我が国では、「米中は対立関係にあり、日本は米国側につく」という冷戦思考が刷り込まれて向きがあるが、それはお門違い。
 米中関係は経済では、日中関係と同様に親密であり、対立関係は不利であり、衝突すればとんでもない結果を招く。
 (アメリカ国債の引き受け手は、いまや中国が日本をしのいで最大の引き受け手。アメリカの証券界にとっては、世界最大の外貨準備高をもつ中国が最大の顧客。アメリカの中国進出企業は2万8千社。アメリカの軍需産業―航空機メーカーにとっても中国が最大の顧客―年間150機購入、C130輸送機も。軍事面では、米中は、テロ防止・核拡散防止などの問題で共通項をもち、軍事交流も。)
 日本も、貿易では、中国とのそれは(香港を含めれば)24%で、アメリカとのそれ(16%)を二倍も上まわっている。(朝日の、この世論調査結果を掲載・論評した紙面には、日本の輸出入総額に占める米中の比率は、中国が20%、アメリカが13%。一方、中国の輸出入総額に占める日米の比率は日本が10%、アメリカが14%。米国の輸出入総額に占める日中の比率は日本が6%、中国が14%となっている。)
<米>アメリカにとって、日本と中国の、どちらの国との関係が、より重要と思うか。   日本33 中国50
<日>日本と中国との関係を考えたとき、次のどちらをより重視すべきだと思うか。(択一)
 日本とアメリカの同盟関係を強め、中国と向き合う31
 日本・アメリカ・中国の3ヵ国が、経済などの面で相互依存関係を深める64
 当方なら後者
<日・米>日米安保条約をこれからも維持していくことに賛成か、反対か。 
 日{賛成78 反対 9 } 米{賛成68 反対11}
 当方なら「反対」の方―日本は、この条約に縛られて、独自の外交戦略を欠き、アメリカの軍事・外交戦略に追従してばかりだが、そのような状態から早く脱すべきだから。 
<日・米>日米安保条約に基づき、日本には約4万7千人のアメリカ軍が駐留している。このアメリカ軍は何のために日本にいるのだと思うか。(択一)
 ①日本を防衛するため{日42  米9}
 ②アメリカの世界戦略のため{日36 米59}
 ③日本が軍事大国になるのを防ぐため{日14 米24}
 当方なら②、③も。
<日>いざという場合、アメリカは本気で日本を守ってくれると思うか、そうは思わないか。 本気で日本を守ってくれる41 そうは思わない46 当方なら「そうは思わない」方
<日>日本にとって、軍事的に脅威を感じる国はどこか。(一つだけ挙げるとすれば)
 北朝鮮49 中国32 アメリカ6 ロシア3 韓国1 その他の国0 特にない2 
答えない・分からない7 
 当方なら「答えない」方―答えようがないからだ。そんなことは相対的なもので、ある国(北朝鮮や中国)に対して脅威を感じるのは、その国を敵視しているからであり、相手からみれば逆に自分の方(かつての侵略・植民地支配と戦後アメリカとの戦争、それに加担してきた日本)が敵視され脅威と感じられるようなことをしてきたし、してもいるからからなのであって、そのことを抜きにして、ただ相手の脅威だけを論じても意味がないからである。
 アメリカの軍事力は圧倒的であり、その核の傘にある日本も海軍力だけでみればアメリカに次ぎ、「相撲にたとえアメリカ横綱とすれば、日本は前頭、それに対して中国は十両に過ぎない」という(1月8日放映の朝日ニュースターの番組パックイン・ジャーナルで軍事ジャーナリスト田岡氏)。空母やステルス戦闘機(中国は建造計画・試作の段階。日本は既にヘリ空母を持ち、ステルス戦闘機も研究に着手)を含めても、中国はまだまだ。
<日>日本の周辺で、日本の平和と安全に大きな影響を与えるような事態が起きる不安を感じているか、いないか。 感じている72  感じていない24  
 当方なら「感じている」方。但し、問題は「どうしてか」ということであって、それは、そのような事態を招く要因が様々あるからなのだが、それらは北朝鮮や中国の側だけでなく、日米の側にもあるのだということ。互いに「抑止力」と称して軍備増強、兵器開発・軍事演習をやりあっており、プレッシャー(軍事的・経済的圧力)をかけあっている。
<日>中国の軍備増強に備えて、沖縄本島のさらに西にある先島諸島に新たに自衛隊を配備することに賛成か、反対か。 賛成48 反対36 
 当方なら「反対」の方―かえって緊張を招き、トラブル(衝突)の元になるから。
<日>仮に、中国と台湾との間で軍事衝突が起きて、アメリカ軍が軍事介入したとき、自衛隊がアメリカ軍のために物資を輸送するなどの後方支援をすることに賛成か、反対か。
 賛成57 反対30 
 当方なら「反対」の方―「仮に・・・」ということで「仮の話し」を前提にして設問しているが、中台関係は、いまや親密化し、経済分野では一体化に向かっており、「軍事衝突」などアメリカにとっても(衝突されては困ることで)それは想定外の、非現実的な「あり得ない」といってもよい話しで、設問は愚問。(中台間には飛行機の直行便は一週に270便、船の往来は昨年1万3,000隻。中国に行っている台湾人は200万人。台湾からの輸出の30%以上、投資の70%以上は中国向け。中台自由貿易協定も結んだ。アメリカ政府は台湾政府に対して台湾独立政策は徹底して抑える方針をとっている。馬英九総統はアメリカ人が台湾のために戦うことを求めないと言明。台湾独立戦争などあり得ないということだ。但しアメリカは、中台の軍事バランスの均衡と中台双方との外交バランスを図っており、台湾に武器売却をおこない台湾への影響力の維持を図っている。中国は台湾へのアメリカの武器売却には反発、最近、軍用へりコプターなどの売却問題で米中軍事交流を中断したが、交流は再開することになっている。)
<日>自衛隊の海外での活動は今後、どうすべきだと思うか。(択一)
 ①災害救助を除き、海外での活動は一切すべきでない21 
 ②国連の活動に限って認める59
 ③国連の活動以外でもアメリカの要請があれば認める15
 当方なら①
<日>日本は、国内に駐留しているアメリカ軍の経費の一部について、いわゆる「思いやり予算」として約1,800億円を負担。この予算をどうすべきだと思うか。 ①増やすべきだ1 ②いまの程度で続けるべきだ32 ③減らすべきだ54 ④やめるべきだ10   当方なら④  
<日>日本にアメリカ軍の基地があることは、日本にとってプラスの面が大きいと思うか、マイナスの面が大きいと思うか。 
 プラス53 マイナス28
 当方なら「マイナス」の方―それによって日本が守られているというのは多分に幻想であり、むしろ、それがアメリカのアジアや中東での戦争に出撃基地もしくは後方基地として利用され、戦争に手を貸すけ結果になっており、基地周辺にとっては迷惑も甚だしいだけでなく、基地あるがゆえに居住地が標的にされる危険がつきまとう。
<日>日米安保条約に基づいて日本とアメリカの間で結ばれている日米地位協定では、アメリカの軍人が日本で事件を起こしても、日本の警察がすぐに取り調べをできない場合がある。日米地位協定を改定すべきだと思うか、改定しないで運用の改善でよいと思うか。 改定すべきだ79  運用の改善でよい15  当方なら「改定」の方
<日>日本の米軍基地は迷惑な施設だと思うか、そうは思わないか。 迷惑な施設だ32 そうは思わない53 当方なら「迷惑」の方
<日>沖縄には在日米軍の基地や施設の74%が集中している。この状態は本土に比べて、沖縄に犠牲をしいていることになり、おかしいと思うか、地理的・歴史的にみてやむを得ないと思うか。 おかしい48 やむを得ない45 当方なら「おかしい」という方
<日>普天間飛行場の代わりの施設を名護市の辺野古地区につくるという日本政府とアメリカ政府の合意について、どうするのがよいと思うか。そのまま進める方がよいか、見直してアメリカと再交渉する方がよいと思うか。 そのまま進める30 見直してアメリカと再交渉59(合意を見直したら、どうしたらよいと思うか。 沖縄県内の別の場所に移設12 沖縄県以外の日本国内に移設32 国外に移設51)  当方なら「再交渉」の方で、「移設先をどこに」などより普天間飛行場は「とにかく撤去・閉鎖」を求めることだ。
<米>アメリカが1945年に広島と長崎に原爆を投下したのは、「戦争を早く終わらせるためにはやむを得なかった」と思うか、それとも、「一瞬に多数の人を殺す原爆を投下したのは、間違いだった」と思うか。 やむを得なかった55 間違いだった34
 「戦争を早く終わらせるために」やむをえず「一瞬に多数の人を殺す原爆を投下した」としか書いていないが、言葉足らずである。アメリカは単にそれだけではなく、「戦争を早く終わらせて自国兵士のさらなる犠牲を避けるために」と、「多数の一般市民を無差別に殺す原爆を投下した」のだ。



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