米沢 長南の声なき声


ホームへ戻る


外交・安全保障の要諦と対中外交
2010年11月10日

各氏の考え紹介
<軍事ジャーナリスト田岡氏の考え―朝日ニュースターの番組「パックイン・ジャーナル」での発言より>
①相手の事情をよく理解し、相手の真意を見極めること。
②対立点よりも共通利益を追求すること。
③安全保障の要諦は敵を減らし、味方を増やすこと。(軍人・軍部はとかく敵を作りたがるものだが)
<ユニクロ社長柳井正氏の考え―朝日新聞10月23日付より>
 日中両国政府は「お互い主張をぶっつけるが、相手の言い分には耳を貸さず、ただ非難しあうだけ。これでは対話の糸口は見つかるはずもない。自国のみが正しいという、偏狭な愛国心ばかりがヒステリー気味に増幅することになった。」「とくに危うさを感じたのは、不用意に勇ましい発言を繰り返した日中双方の政治家の態度だ。勇ましい話は一見、格好がいい。国民にも受ける。人気とりにしか思えない発言で火に油を注ぎ、メディアも「非国民」「売国奴」といった言葉で煽った。」
 「アジアは共存共栄をめざすしかない。すでに日中は互いに切っても切れない関係を築いている。」「現在の結びつきの重要性に比べれば、摩擦によって失うものが、どれほど大きいか。」
 (無責任な政治家とメディアは、国民に受けようとして、勇ましい、格好のいい言葉で相手国を非難するとともに自国政府の「弱腰外交」をも批判して国民を煽っている、ということか。)
<ハーバード大学名誉教授エズラ・ボーゲル氏の考え―朝日新聞10月29日付け「オピニオン・インタビュー」より>
*中国の指導者は自国が安定的に発展できるか不安。まだまだ生活水準の低い多くの国民と多数の少数民族を抱える巨大な国、その秩序を維持しコントロールするのが容易ではなく、民主化に不安。そこで共産党への忠誠心と愛国心に頼っている。
*中国人にとって日本との最も緊密な接触体験は日中戦争。日本観はその戦争から形作られている。米国人にとって最も緊密な接触体験は戦後の占領期だから、日本が軍国主義を捨て平和な国になったことを理解しているが、中国人はまだそのようには考えない。
*中国は国力が増して自信をつける(経済発展を達成し、もはや日本から近代化に必要な基礎的なテクノロジーを学ぶ必要がなくなった)とともに、行動を変えてくるのではないかという長期的な懸念も。
*尖閣列島―アメリカ政府の公的立場は「国際法上、どの国に属するか確定していない」という立場。(実際、クリントン国務長官は「尖閣列島に日米安保条約が適用される」と言明したといっても、それは「尖閣は日本の施政権下にある」という従来の立場を繰り返しただけで、領有権には触れていない。ということは、そこで万一軍事衝突が起きたとしても、必ずしも米軍が出動するとは限らないということ。)
*中国に対抗して反中感情を利用して日米同盟を強化しようとするのは健全ではない。
中国は大国であり、我々は中国とやっていかなければならないのだ。中国は世界との貿易から利益を得、世界システムの受益者であり、自らの国益のために国際機関を必要としており、覇権国家にはなれない。中国にとっては平和的な国際環境が不可欠であり、過大な軍事費はかつてのソ連の失敗の原因でもあるところから、軍事費の増強には抑制がある。


ホームへ戻る