米沢 長南の声なき声


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国民審査は安易でなく
2009年08月25日

「三権分立」にもかかわらず、我が国では、とかく政府にとって都合のいい判決がなされがちである。国の措置に対する違憲訴訟などについては、「高度に政治性をもつ国家の行為は司法判断になじまない」とする「統治行為論」などによって、正面からの憲法判断は回避され、「原告には訴えの利益なし」などとして請求自体が却下される場合が多い。
 イラク派兵訴訟があちこちで起こされた中で、名古屋高裁で(間もなく退官をひかえている裁判官が)違憲判断を下した以外には、憲法判断はなされていない。
 どうして、政府にとって都合のいい裁判になりがちなのか。それは、裁判官の人事権は内閣にあり、内閣が裁判官を指名・任命(下級裁判所の裁判官は最高裁が指名した者の名簿によって内閣で任命)しているからにほかあるまい。
 その裁判官を国民が審査する機会が唯一与えられてはいるのだが、それは
ほとんど形式化しており、メディアによる資料提供は極わずかで、大半の人は「よくわからない」まま白紙(即信任)投票してしまう。
 今回の裁判官の中には、元外務官僚(事務次官)でイラク派兵を推進した人物がいるのだが、そういったことは、新聞・広報などの人物紹介では何ら触れられてはいない。
 いずれにしても、安易に白紙投票をしてしまうことのないようにすべきだろう。


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