「給付」を受けた人々がこれにどういう対応をとるかには、次の5つが考えられる。
①この何日かを食いつなぐ生活資金に当てるか、或は医者代などに当てる。
②政府の「景気対策」に協力、景気浮揚に貢献するために「地元の商店街で買い物」、「なにか欲しい物を買う」、「飲み食い」、趣味・娯楽、旅行代などに当てる。
③自己研鑽・文化費に当てる。
④資金を切実に必要としている人たちやお金に困っている人たちのために寄付をする。
⑤受け取らない。
それらのうちどれにするかは、人それぞれの勝手だろうが、「受け取らない」というのは、「定額給付金」という政策自体に反対で、それに筋を通すという信念はいいとしても、受け取らなければ、結果的に国庫に戻されるだけの話で、「還付さるべき税金」の取られ損ということにもなるので、あまり賢明ではないように思われる。
②は景気浮揚に貢献するためという美名のもとに、高所得者まで給付金を受け取り、それで消費をむさぼるというのは、濫費や浪費(買わなくてもよいものを買う無駄使い)にもつながり、どうも違和感を感じる。
その日の生活費や支払いに困っている人にとっては①はやむを得ないが、それ以外の人なら③か④に当てるのが賢明というものだろう。
自民党の細川幹事長は「格好をつけずに受け取って使えばいいんだ」といったようなことを語っていた。首相はといえば、当初、高所得者が給付金を受け取るのは「さもしい」と言っていたのが、受け取って使うという方にコロッと変わった。
政治家の場合、寄付は、公職選挙法で自分の選挙区内に対しては禁止されているが、そのような場合以外なら可能なはず。
NPOが給付金寄付の受け皿
NPO80団体が「定額給付金基金」を創設して、「子供をささえる」「教育を考える」「自然をまもる」など17の活動分野を選んで給付金を寄付できる受け皿をつくっている。
米沢市に「ふるさと応援寄付金」
ところで、わが米沢市では「ふるさと応援寄付金」というものがかねてよりあって、昨年の市報8月1日号に受付開始と出ていて、3月15日号には338万5千円集まったと出ていた。先月、市役所(企画調整部総合政策課)に行って訊いてみたところ、「定額給付金」にタイミングを合わせて改めて「ふるさと応援寄付」を呼びかけることにしているとのことだった。
「米沢市ふるさと応援寄付金」の指定選択メニューは、当初①まちづくり推進②観光振興③地域文化・芸術振興④子育て環境整備⑤景観形成推進⑥「市長におまかせ」など6項目だったが、先月訊きに行ったときには、それに「地球環境・地域環境の整備」が付け加えられていた。今、焦眉の問題となっている雇用対策・雇用創出事業基金などに当てる項目もあっていいのでは?と言ったら、まとまった金額に達するまでの期間を考えれば、そのような即効性を要するものは難しいかもしれない、が、とりあえずは「市長におまかせ」項目の中に入れて考えることもできるのでは、ということであった。
ところが、「定額給付金のお知らせ」の折込チラシとともに届いた市報4月1日号には、「ふるさと応援寄付金」のメニュー項目に新たに「奨学育英事業」が加えられ、「高校生のいる家庭を支援するため広く皆さんからの善意を募ります」とあった。
この大不況下で、家計困難に陥って授業料や入学金が納められず、中途退学や入学断念を余儀なくされている生徒が益々増えてきている。この時に、「ふるさと応援寄付金」の指定項目の中に、学費負担が困難な家庭への学校納付金支援に当てるという項目を急きょ設けた市当局の措置は時宜を得た大変賢明な措置だ。市民の中に、それに応じて定額給付金から寄付しようという善意の人が何人かでもいてくれれば幸いと思う。当方としては、わざわざ市役所に訊きに行って「応援寄付」に応じたいと言って寄付金申込用紙までもらってきた手前、寄付しないわけにはいくまい。