米沢 長南の声なき声


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We can chenge,too!(加筆・訂正版)
2008年12月28日

                                                  <2009,1,13記>
 アメリカでは”CHENGE!”というオバマ氏の呼びかけに”Yes,we can!”と応えて、国民は共和党政権から民主党政権に変えた。我が国でも”CENGE”を待望する向きが多くなってきているだろう。
 この暮らし、仕事(就職・就労・営業)、子ども・若者(教育)、老後(医療・介護・年金)、それに地球環境はいったいどうなるんだ、どうするんだと。
 この不安、窮状を何とかしなければ。政府に何とかしてもらわなければ。これまでの政権、今の政権ではどうも。
 とにかく、 孫たちが心配でならないのだ。

 我が子・孫たちが、他より優秀であったり、勝ち組なったり、偉くなったりなどならなくともよく、ただ健やかで、無心に勉強に打ち込み、遊びに打ち興じることができ、長ずるにおよんで仕事にありつき、結婚して世帯をもつことができるようになってくれればよい。それだけをひたすら願うばかりである。

 ところが現実の社会は、就学・就職・就労・営業・結婚・家庭生活・老後など、不安や困難に満ちあふれている。不安社会・ホープレス(希望のない)社会ともいうべき状況、閉塞状況である。
 子ども・若者・中高年・年寄り、みんな大変なのだ。いったいどうしてこんなことになったのか。
そこには政治の責任がある。政府の産業経済政策・雇用労働政策・社会保障政策・教育政策など政策の結果、こうなってきたわけである。
 「今の政治に対して心から怒りを覚える」とは渡辺喜美自民党議員・前行革担当大臣の言だが、その政治は今に始ったことではない。
 自民党(1955年以来第一党、政権を握って予算を支持者に分配、票とカネ―献金―を得る)を主とする歴代政府によって、ずうっと財界・大企業本位の政策とアメリカ追従・依存の政策がとられ、官僚たち(省益―既得権益・利権―追求)の手によって実行されてきたのである。
 とりわけ近年の新自由主義イデオロギー(市場万能主義、「小さな政府」主義・競争主義・効率主義・成果主義・「自己責任」主義)に基づく市場(民間の売買取引)任せ―規制緩和・民営化―の政策によるところが大きく、その結果、産業・教育など各分野にわたって弱肉強食の競争激化・格差拡大が進行し貧窮者・難民(あぶれた人)が激増しており、そのような政策を推進してきた政権党の責任が大きい。
 その政策とは具体的には次のようなものである。
●大企業・資産家・株主(東京証券取引所の取引の6割は外国人投資家―その大半はアメリカのファンド)本位・優先の政策―従業員(労働者)・中小零細企業・農林漁業者ないがしろ、或は犠牲。
 (投資銀行・ヘッジファンドなどの投資家は短期の投機利益を追求し―マネーゲーム―それで会社を評価、会社は株主から高評価を得るため彼らへの配当を増やすことにばかり囚われ、たやすく労働者の首を切る。)
 (02~07年、株主配当は4倍、役員報酬は2倍で、賃金は0倍)
 (企業は経営危機に瀕しているといっても、大企業には巨額な利益の溜め込み―「内部留保」―がある。トヨタが「赤字」転落の見通しといっても、それは営業利益のことで、営業外収支も含めた経常利益から特別損失と税金を差し引いた純利益は黒字。しかもそれは単年度損益計算書の上でのことであって、年々の繰越利益・積立金などが記される貸借対照表では13兆9,000億円もの内部留保があるのである。仮にその預金利子―1%1,300億円―を当てるだけでも派遣工解雇者3,000人の賃金―月25万円、年300万円として90億円―は裕に間に合うはず。キャノンの内部留保は2兆8,000億円。資本金10億円以上の大企業全体では、内部留保は07年度で240兆円にもおよぶと言われる。―朝日ニュースター番組「パックイン・ジャーナル」のコメンテータ二木氏・田岡氏らの発言などから)
●派遣労働の自由化―非正規雇用の拡大(3人に1人でEU諸国の2倍以上)―首切り簡単に。
●外需(輸出)依存、内需(国内消費・地域経済)ないがしろ。
●食料も輸入頼み―自給率40%、WTO農業協定で農産物を市場開放、米も輸入自由化(汚染米までも)、「食の安全」問題が深刻化
●予算は大型公共事業(高速道路・港湾・ダム・ハコモノ建設)優先、教育予算・社会保障費は削るか抑える。
●税金は庶民に増税(定率減税廃止、消費税アップ企図)、大企業・資産家に減税(法人税、証券優遇税制、所得税の最高税率の引き下げなど、国際競争力を理由に)。
●社会保障制度(医療・介護・年金・障害者福祉など)の不備・劣悪化―予算削減、給付減・負担増、世界のどの国でもやっていない後期高齢者医療制度(高齢者差別医療、保険料を年金から天引き)、医者の数は先進国で最低レベル、特に産科・小児科が不足、医療費の高過ぎる窓口負担は世界でも異常、公立病院の統廃合も問題。
●イデオロギー政治―靖国・日の丸・君が代崇拝、日本の戦争肯定史観
自民党の運動方針案には「憲法改正に対する18歳以上の投票権の実現に向けた国民運動の機運の醸成」「靖国神社への参拝を受け継ぐ」と。
●教育は競争主義・テスト主義教育、教育基本法改定―教育統制・愛国心教育へ。
教育予算はOECD諸国で最下位、学費の高さは世界一。
●外交・安全保障政策はアメリカ一辺倒・軍事偏重、平和外交は消極的。
アメリカ軍に前線基地提供、思いやり予算(安保条約上の義務のない米軍駐留経費を引き受け)、アメリカのアフガン・イラク戦争を支援、自衛隊派遣
●地球環境政策も消極的(京都議定書の温室効果ガス排出量削減目標は未達成、すでに超過達成し中長期の数値目標を決定しているEU諸国に比べ全く後れをとっている)。
●「政官財」の癒着構造―財界・業界は一部の特権官僚に「天下り」先を用意し、その見返りに官僚が財界・業界の利益につながる所管庁の予算編成や政策・法案を立案、それを自民党などの政治家が国会で成立させ、その見返りとして財界・業界が多額の政治献金。長年にわたる自民党政治には、この癒着構造に致命的欠陥がある。

 このような政権・政策を以下のように転換させなければならないのだ。
○大企業・金持ち本位の政策から庶民本位の政策へ。
○ルール(規律・規制)なき資本主義からルールある資本主義へ(ヨーロッパ並みに。ドイツでは「解雇制限法」、フランスでは「経済的理由による解雇の防止と職業転換の権利に関する法律」を定めて解雇を規制しており、労使紛争には必要に応じて政治が介入)。
「投機資本主義」・「金融立国」から「物作り資本主義」・「産業・技術立国」へ。
○競争主義・自己責任主義から社会的連帯主義へ。
○非正規雇用拡大政策から安定雇用政策(労働者派遣法の抜本改正、派遣労働者保護法の制定―正規労働者との均等待遇原則―同一職務には同一賃金・同一社会保険)へ。
○外需依存から内需主導経済へ。
○農林漁業の再生、食糧増産―自給率アップ。
○競争主義・テスト主義教育・愛国心教育から人間教育へ。
国民にとって教育の不都合な事態は教育基本法のせいではなく、むしろ文部行政がそれを歪めてきた結果にほかならない。改定教育基本法は元に戻して学校の自主的運営の保障へ。学費軽減、私学助成―公私間格差是正へ
○日米同盟路線―アメリカ従属―から非同盟・中立・自立へ。
軍事偏重から平和外交へ。
軍事費を削って教育・医療・福祉などの予算増額へ。
○環境政策―地球温暖化対策―自然エネルギー開発・普及、「低炭素国づくり」へ。そこにビジネ・スチャンスも。(原発は放射能汚染の危険)
○憲法軽視(憲法に不忠実)・改憲企図から憲法尊重・擁護へ。
戦後、今日に至るまでに生じた国民にとっての様々な不都合な事態は憲法それ自体の結果ではなく、むしろアメリカと財界などの都合で自民党政府の手によってそれが歪められてきた結果にほかならない。

 「自民党の歴史的使命は終わった」(自民党の元幹事長・加藤紘一氏の言)。
 アメリカはオバマ新大統領の下に変わろうとしている。新自由主義(市場原理主義)と軍事力依存からの決別である。世界もアメリカを基軸とした一極支配から無極化世界・各国国際協調時代に変わりつつある。我が国も変わらないわけにはいくまい。
 しかし、他力本願ではなく主権者として自らの行動と一票でそれを実現しなければならない。
 (「天地人」とは、「天の時、地の利、人の和」という孟子の教えを引用した上杉謙信の言葉からきたのだそうだが)今はさしづめ「天の声、地の叫び、人々の決起」ということになるのではあるまいか。
 
 以前、アメリカで人種差別反対運動の黒人指導者キング牧師の名演説に“I have a dream!”という言葉があったが、この私にも夢がある。我が孫たちがこの国で、この「天地」で他のすべての人たちと共に健やかに不安・困窮なく暮らせている夢だ。
 We can chenge,too!  I have a dream,too!
 


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