米沢 長南の声なき声


ホームへ戻る


迫られる食料自給率アップ
2008年03月17日

 ギョーザ事件で輸入食品を買い控え、国内産農産物にこだわる風潮がにわかに広がっている。輸入食品の安全性に対する不安と同時に、我が国の食料自給率の低さを改めて思い知らされた向きも多いだろう。39%という自給率は先進諸国中最低かつ極端な低水準である。しかし、それは国土が狭いからでも気候が悪いからでもなく、国の政策の結果にほかならない。当地出身の農学博士・滝澤昭義氏によれば「放置したり他に転用したりしている土地を有効に使えば、さらに多く食料が生産できるはず」「こと農業生産に関する限り、日本は決して資源小国ではなく、むしろ資源大国」なのだという。現に数十年前までは食料自給率は今よりはるかに高かったし、他の先進国並みにすることも不可能ではないのである。
 我が国では今は海外から買いあさってむしろ「飽食」ぎみだが、世界的には気候変動や途上国の人口増と経済成長などで食料危機に見舞われる恐れがあり、農産物輸出国も自国向け供給を優先して輸出の規制・抑制に踏み出し、中国も輸出抑制に乗り出しているという。
 我が国には、輸入食品の検査・検疫の強化だけでなく、これまでの「食料輸入自由化」・「減反」・「小規模農家切捨て」政策の転換が迫られている。


*文中の滝澤昭義氏とは
    山形県米沢市出身
    北海道大学大学院能楽研究科博士課程中退、農学博士
    明治大学農学部教授などを経て、現在NPO法人食農研センター理事長
    著書「毀された『日本の食』を取り戻す」
       「暮らしのなかの食と農」シリーズ「(5)食料はだいじょうぶか」
       同シリーズ「(37)食と健康に関する10問10答」


ホームへ戻る