米沢 長南の声なき声


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ギョーザ事件被害は両国に
2008年03月15日

 ギョーザ事件の被害者は誰よりも、それを食べて中毒にあった日本側の消費者たちだが、中国側も、この事件によって中国産野菜や中国製加工食品の安全性に対する不安が増幅し、輸出激減、操業停止・廃業、従業員解雇など大打撃を被っている。
 日本側では、生活に余裕のない低所得者などにとっては安くて簡単な中国製冷凍食品が買えなくなり食品が値上がりすることで困る人もいるだろうが、大半の消費者や業者は中国製品不買、国内産購入に切り替えれば済む。しかし中国側では、中国製品に対する不安を払拭し日本などでの不買動向から脱するには、そのような事態をもたらした原因・犯人をつきとめて処置する以外にない。中国側は国家の威信をかけて、その原因・犯人をつきとめようとしているに相違あるまい。それをうやむやにしたら同国政府の威信は失墜してしまうからだ。中国側には、一方的に日本側に責任を帰せて自らは責任放棄したり、「あいまいなまま幕を引く」などと、そのようなことは対外的のみならず国内に対しても同国政府の威信を失墜させこそすれ、なんのプラスにもならないことはわかりきったことだ。
 とにかく両国の政府および捜査当局が一致協力して原因・犯人をつきとめ事態を改善することをひたすら応援してやまない。
 
 今回の、このような事態の再発を防止するには、検査・検疫体制の強化が両国とも必要なことは云うまでもない。
 それに中長期的には、我が国の側で、極端に低い食料自給率の改善をめざして国内産を増やすための農業・食糧政策(食糧輸入自由化・国内産縮小路線の見直し)を講じることが必要である。
 気候変動や途上国における人口爆発による世界的な食糧危機が心配される今、日本はいつまでも食糧を輸入にたより、中国は食糧を他国に輸出し続けるという、そのような余裕はなくなるはずであり、将来にわたっての食糧の安定確保は日中両国とも焦眉の課題である。
 ギョーザ問題で、目先のことのみに終始することなく、食糧主権や食糧安全保障の観点からの将来展望にたった事態の改善・取り組みが急がれる。


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