米沢 長南の声なき声


ホームへ戻る


靖国を訪れての感想
2006年08月31日

 神社付設の博物館には、一人一人の遺影、軍人たちの遺品、特攻兵器の実物、史資料が展示され、映像が流され、日本が行なった戦争が解説されていた。私には、戦死した叔父たちのことを思い、悲しくも痛ましいという思いの方が先だった。それに、そこで思ったのは、ここでは度外視されている、おびただしい数の犠牲者たちの悲惨である。ここを訪ねる者は人によって思いは様々であろう。しかし、この神社自体は日本の戦争をすべて肯定し、その前提の上に立って、そのために「命を捧げた」将兵それに戦争責任者も全て英霊として讃え祀っているのである。首相をはじめ公人には、個人的な「心の問題」だけでは済まない、諸国の犠牲者たちに対する配慮と憲法(政教分離原則)の厳守が求められるのは当然であろう。

 尚、見学者が感想を書き込むノートが置いてあって、その中に次のような意味の書き込みがあった。「英霊たちのおかげで今があるとよく言われるが、彼らはあくまで日本が勝つ為に戦ったのだ。ところが戦争は負けた。現在に至るまでの日本の平和と繁栄は、むしろ敗戦のおかげなのではないか」と。なるほど―もし勝っていたら、日本はどうなっていただろう。


ホームへ戻る