米沢 長南の声なき声


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本紙の「憲法ってなに?」(上)を読んで
2005年11月02日

〔朝日新聞10月30日、漫画家の弘兼憲史・石坂啓 両氏の対論〕

 弘兼憲史氏は、自民党の新憲法草案を、現に存在している自衛隊を単に憲法に明記するだけのことでもあるかのように述べておられるが、自衛隊と「自衛軍」即ち軍隊とでは大きな違いがある。

 そもそも現行憲法下での自衛隊は、警察などと同様に、武器は持っていてもその使用は制限されており、現場で自分と他の人の身を守る正当防衛・緊急避難など以外には、武器使用も戦闘行為もできないことになっているのである。現にイラクに派遣されている自衛隊もそうなっている。ところが、それが、交戦権を持つ軍隊として法的に認められれば、残虐兵器・無差別攻撃以外には武器使用は無制限となり、どういう状況で何人殺しても殺人罪に問われることはなくなる。

 また、弘兼氏は、草案の前文や12条に「国民の責務」を定めていることにも同調しておられるが、憲法というのは、「国民は・・国・・を愛情・・をもって自ら支え守る責務を共有し」とか、「自由と権利には責任と義務が伴う」などとわざわざ書いて国民に守らせるという筋合いのものではないのである。近代の立憲主義では、憲法とは、石坂啓氏が述べておられるように、「国民の自由や権利を守るために」国民が「国を監視し、国が暴走しないようにするための決まりのはず」。


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